サッカーW杯日本代表〜侍の蒼の時代〜

「その手があったか」


デンマーク戦の本田と遠藤の2本のFK直接弾を見て、ガッツポーズと共にそう思わずにはいられなかった。そう、日本の得点の得意パターンはFK。だが、今回のW杯でそれまで直接弾を決めていた選手が殆どおらず、ジャブラニでは直接FKはまず決まらないと勝手に思ってしまっていたが、さにあらずであった。


直接FKの2ゴールはもちろん素晴らしかったのだが、重要なのはデンマーク戦も、日本の守備のシステムがきちんと継続機能していたという点と、守りながらも攻める姿勢を見せ続けた点だろう。


最初の15分間、この大会で初めて日本の守備が”緩み”を見せた。明らかにデンマークの選手に対するチェックが甘くなってスペースを与えていたし、トマソンのシュートがわずかに枠を外れたのは「ラッキー」以外の何物でもない。


しかし、本田のゴールで1点入った後は、しっかり修正されていた。このあたりが、今回の日本代表のチーム力だと思う。その後、相手がもっと前がかりになって攻勢に来ても、本当に「危ない」と身構える場面は殆ど無く、カメルーン戦から続く安定感は継続していた。


これは、守りの”型”が完全に出来上がってきたということと、スタミナ・マネジメントも心配する必要が無いレベルにまで上がってきたということだろう。


組織的な守りを最後まで崩すことなく継続したと同時に、攻めの姿勢を貫いたのも賞賛できる。3点目が入る前も、かなり良い場面を遠藤の惜しみないフリーランニングで作っていた。


さて今晩のパラグアイ戦、ファウル・マネジメントとセットプレーが勝敗の鍵を握ると見る。ズル賢い南米。そしてファウルを厳しくとる傾向にあるデブレーゲル主審。

挑発に乗って不用意なファウルで退場を喰らうようだとゲームプランは一気に崩れる。


逆に相手のファウルでもらうセットプレーは、当然得点のチャンスとなる。今回も、本田や遠藤のFKがまた期待されているだろうが、個人的に一番期待しているのはトゥーリオのヘッド。


理由は2つ。そもそも日本代表で最も決定力のある選手の一人であるが、そんなにマークされ無さそうなこと。今大会に関しては、本田、大久保、松井の方がよりマークはきついだろう。


そしてもう1つは、パラグアイが今までの国と比べたら「高さ」についての守備力は一枚落ちそうなこと。もらったFKで遠藤がボールを入れ、大久保や本田に人が引きつけられる裏にトゥーリオが走り込んでヘッド、というゴールシーンが一番イメージが湧く。


もちろん、同じ文脈で中澤もかなり有力なのだが、中澤まで突っ込んでいくというのは負けている時だろうから、あまり想像したくない。


最後におまけで、個人的に期待したいのは森本の登場。
まあ、同点か負けている時に松井か大久保に代わって入るイメージだろうが、今大会まだ一度も見ていない森本が入って何かしてくれるのも見てみたい。


甲子園で「全員野球」の無名校があれよあれよと言う間に勝ち上がる時もそうだが、乗っているチームには「日替わりのヒーロー」が現れる。


今晩の試合がそうなれば、「レ・ブルー」でも「アズーリ」でもなく、「侍ブルー」の大会であったと言える日が来ても不思議ではない。