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カドサイラから考える薬価決定プロセスの変革

若干旧いニュースになりますが、HER2陽性乳がんの治療薬「カドサイラ(T-DM1)」が日本でも発売になりました。

 

この薬が昨秋に承認されたものの薬価でもめた件については、以前のブログでも取り上げました。

 

 ■「1年延命のコストが1500万円?~新薬カドサイラの薬価問題が暗示する未来~」

  

ブログの中では、国とメーカーの間での交渉が、「ざっくりとしたイメージで、ラパチニブ+カペシタビンの薬価の1.5倍(月額45万円くらい)vs3倍(同90万円くらい)、といった感じでの攻防なのではないかと推測」しました。

 

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実際に決まった薬価は、100mg1瓶 235,108円。米国の薬価の4分の3程度、月額で言えば72万円程度です。ということで、攻防の末、少しメーカーよりのところで両者妥協した、という形です。

 

一方、このカドサイラ、英国NHS(国民保険サービス)では、保険償還を適用しないことになってしまったようです。

 

 ■Breast cancer drug Kadcyla is too expensive for the NHS – not to pay for it is the correct decision

  <乳がん治療薬カドサイラはNHSにはあまりにも高価−保険償還せずが正しい判断>

   

記事によれば、カドサイラはQALY(元気に過ごせる期間を1年延長、と考えてください)あたりのコストが18万ポンド(2900万円程度!)と計算され、ボーダーラインの3万ポンドをはるかに超える額のため、保険償還を見送ったとのこと。

 

英国で提示された薬価は米国並みだったとすると、日本でもQALYあたりのコストは2000万円を下りません。

 

こうやって見ると、日本のカドサイラの薬価、保険制度の維持を考えると、やはり「高額すぎる」レベルになってしまったと言わざるをえません。

 

ところで、医療費の中核である診療報酬は、「中医協」という、利害関係者(支払側である保険者や患者の代表、医療サービスを提供する側である医師会や病院の代表)がすべてそろった諮問機関で検討され、決定されます。

 

もう一方の中核である薬剤費を形作る薬価は前述のブログ記事でも取り上げたように、今のところ厚生労働省と当該メーカーとの間の「交渉」で決定されます。

 

しかし、診療報酬にしても薬剤費にしても、「支払」が必要なのは同じです。

 

であれば、薬価の決定プロセスについてもメスを入れ、中医協のように支払側も入った組織体で審議しなければならない時代になってきたのではないでしょうか。