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製薬業界のソーシャルメディア・プロモーションのあり方〜英国PMCPAの12の指針〜(1)

医療の変革

春が来た。
今年初めてそう思わせるような陽気が先週続き、東京の桜が満開になった。


ここのところ毎年お花見に出かけている東工大大岡山キャンパスで、昨日パチリ。今年初めて”花見の賑わい”を目にする事ができた。どんな年でも必ず春は来るのだ。


さて、製薬会社がソーシャルメディアを活用する上で指針になるようなものは、Rocheのガイドラインなどを除くと目立つものは無かったが、英国のPMCPAが出しているコード(日本で言う、製薬工業協会のプロモーション・コード的なもの。以下、プロモーション・コードと呼ぶ。)にソーシャルメディアの扱いがQ&Aとして加わったので紹介したい。


あくまでもオリジナルのプロモーション・コードが基盤ということになっているが、以下、本ブログ筆者の意訳を2回に分けて紹介する。原文(英語)は、添付を参照されたい。
PMCPA_SM_Guidelies_2011.pdf 直


1. 製薬会社は、ソーシャルメディアを通じて、医療従事者とコミュニケートして良いか?

ソーシャルメディアを通じて、自社の医療用医薬品の認知を高めたり医療従事者との関係を深めたりというのは、いわゆる「プロモーション(宣伝)」としてみなされる。
もし製薬企業がツイッターを通じて自社製品を宣伝したい場合、その製品が処方薬であり、情報の受け手が医療従事者に限られ、リンク先も含め内容がプロモーション・コードに準じるようにしなければならない。
ちなみに、ツイッターを使って自社製品がらみの文献の公表を伝えることは、プロモーションとほぼ見なされる


2. 製薬会社はソーシャルメディアを使って、情報公開することは可能か?

内容がプロモーション・コードに準じてさえいれば、可能。


3. 自社製品を服用している患者に情報提供することはできるか?

これも、内容がプロモーション・コードに準じてさえいれば可能。ただ、患者が情報提供される事に同意していなければならない。また、内容が宣伝的なものであってはならず、むしろ患者が既にその薬を服用している事に鑑みた、より具体的な内容になるだろう。


4. 製薬会社がWeb上のディスカッション・フォーラムを開くことはできるか?

製薬会社が第三者もしくは自社のウェブサイトで、ディスカッション・フォーラムで議論を仕切るのは可能だが、その議論内容がプロモーション・コードに則ったものにする責任があるし、そうなるようにサイト運営体制を予め整えなければならない。また、必要な遵守事項が異なってくるので、医療従事者向けの情報なのか一般向けの情報なのかが明確にされてなければならない。


5. 製薬会社がヒモ付きで無い寄付を医師や患者会に行ない、その医師や患者会が関連疾病のソーシャルメディアサイトを立ち上げる場合はどうか?当該製薬会社からの寄付を受けているが、内容は(製薬会社の影響はなく)その医師や患者会が作成したものであることをサイト上で公表していたとしてどうか。

この場合、寄付が”ヒモ付きで無い”とは言い難い。製薬会社が内容について何ら影響を持ち得ないということを明記した”厳格な協約”が無い限り、第三者に対して資金提供を行なって出来上がったものがプロモーション・コード違反にあたるという事がある。製薬会社による「資材そのものやコンセプトの導入」「内容・バランス・スコープへの影響」「執筆者の選択や執筆者に対する直接の支払い」などが見受けられたら、”厳格な協約”があるとは言えない。
サイトにおける製薬会社の役割が明確にされていなければならないし、サイトの内容がプロモーション・コードに完全に準じたもので無い限り、サイトそのものの宣伝を製薬会社が行なってはならない。患者会と協働する場合は、書面での協約を得るなどプロモーション・コード23条を順守しなければならない。サイトの閲覧者がその会社の製品の使用を何らかの形で政治的に後押しする事が想定され得る場合、製薬会社がそのサイトに対し金銭的サポートをするのは難しいだろう。


6. 自社が資金拠出しているウェブサイトで自社製品の有害事象に関する情報が載った場合、製薬会社はいつのタイミングから情報収集・報告の責任を負うか?

非常に重要なポイントである。適切な市販後安全性管理を実施していく上で、資金拠出しているサイトの定期的レビュー計画に則った形で、有害事象の収集・報告を適宜行なう義務がある。

とまあ、前半戦はこんな感じだ。
ここまでざっくり言えば、製薬会社にとってソーシャルメディアを活用するにも、出せる内容にかなり限りがあるので、単純な「製品宣伝」目的での考えない方が良い。特に第三者を介してうまいこと宣伝の形を取ろうというような「スケベ心」は持つなというのがコアメッセージだろう。


また、6番目の安全性情報の収集という観点での示唆も興味深い。TOBYOのビジネスモデルを検討していた際に、一番最初に私が持っていた仮説がまさにこの「安全性情報の収集」なのだが、一年前の時点では少なくともどの製薬会社も、ソーシャルメディア上の安全性情報収集については消極的だった。ここではあくまで自社が資金拠出しているサイトしか安全性情報収集義務の対象ではないが、この流れが加速する可能性が出てくるか、興味深いところだ。