医療の変革

一般用医薬品のインターネット販売訴訟ニュースに見る次代への扉

一般用医薬品のインターネット販売訴訟、先日、二審で国側が逆転敗訴し、いわゆる第一類・第二類の医薬品のネット販売規制が無効との判決が出た。結局国は上告することになってしまい、まだ法廷での闘いが続くことになる。 正直なところ、「違法」か「適法」…

癌治療学会の医療コーディネーター養成構想

(前回エントリー「がん治療薬に1000万円払いますか?」の続編は一旦スキップします) 本日から名古屋で開催されている癌治療学会学術総会、例年にも増してプログラムが充実しており、非常に聴き応えのある内容になっている。 その中でも注目していた「がん…

製薬業界のソーシャルメディア・プロモーションのあり方〜英国PMCPAの12の指針〜(2)

今日は、前々回エントリー「製薬業界のソーシャルメディア・プロモーションのあり方〜英国PMCPAの12の指針〜」の後半戦。 7. 製薬会社はウィキペディアの掲載内容を修正することはできるか?この問題はかなり難しく、会社の姿勢次第と言える。製品情報概要…

製薬業界のソーシャルメディア・プロモーションのあり方〜英国PMCPAの12の指針〜(1)

春が来た。 今年初めてそう思わせるような陽気が先週続き、東京の桜が満開になった。 ここのところ毎年お花見に出かけている東工大大岡山キャンパスで、昨日パチリ。今年初めて”花見の賑わい”を目にする事ができた。どんな年でも必ず春は来るのだ。 さて、製…

患者調査をテコに意味のあるがん対策推進を~愛媛がんフォーラム講演より~

先週土曜日に松山で開催された「愛媛がんフォーラム」で、昨年アドバイザーの立場として関与した「がん患者満足度調査」の要点について報告講演し、パネルディスカッションにも参加してきた。 <愛媛のがん患者満足度調査は画期的!> 愛媛のがん患者調査(…

世界初! ダートマス大学の医療と経営のジョイント・プログラム

米国アイビーリーグの名門校であるダートマス大学で、世界初の経営と医療のジョイント・プログラム「Master of Health Care Delivery Science」がスタートする。いずれも世界トップレベルにあるビジネススクール(タック)と医療学部がタッグを組むこのプロ…

Health2.0カンファレンス訪問記(3):Speaking out - That's what I need.

<TOBYOは間違いなく世界でも最先端の試み> Health2.0カンファレンスの開催期間中、毎晩カクテル・パーティーがあり、色んな人と話ができた。TOBYOの話をすると、殆どの人は2.3万件というBlogの集積に「それはすごい!」と驚く。三宅さんの狙い通り、やはり…

開業医の休診日を平準化せよ

Twitterでチェックしていたタイムラインの中に、昨日、「勤務医をより疲弊させるのは夜間・休日の対応の筈。まず時間外の自己負担を増やす」というものがあった。 これ見て瞬時に思ったのが、「そもそも夜間・休日に軽症の患者が病院にわんさか来るのも、近…

仮説:Health3.0の姿

今日は久しぶりに、医療及びその周辺サービスに付いて、刺激的な宴席フリーディスカッションをした。 TOBYOの三宅さんも一緒だったのだが、DFCの更なる進化についてヒントになる話もあり、実りの多い時間だった。 その中でひょいと出たのが、「Health3.0って…

盛り上がりを見せた、「Health2.0 Tokyo Chapter 2」

6月に引き続き、第2回目のHealth2.0 Tokyo Chapterが今晩開催された。 最初の演者は、SMSの鈴木さん。Health2.0ワシントンD.C.大会に出席されたとのことで、数ある発表の中で面白そうな企業をピックアップして紹介された。  ScanAvert http://www.scanavert…

製薬会社員とソーシャル・メディア

今年の春先、日本でのTwitterの月間利用者数が1000万人を超えたというニュースがあったが、最近どうも感覚値に合わない気がしてきた。 <普通の”製薬会社員”はソーシャル・メディアはあまり使っていない?> 私がBlogやTwitterといったソーシャルメディアを…

専門医の定員制

しばらくぶりのエントリーである。 不思議と書く気力が湧かず、「書きたい」という気が自然に起きるまで待っていたら1週間以上経っていた。 まあ、長く続けようと思うと、こういう「お休み期」が多少は必要なのだろう。ちなみに、暑くなってからしばらく就寝…

診察の"可聴化"を進めよう

医師の診察を受ける際に、録音している患者さん、どの程度いるだろうか? 日本ではまず殆どいないと思う。 それが、米国のがん診療の現場ではどうやら普通に行なわれることらしい。 下記はMDアンダーソンの上野先生から頂いたTweet。 - 【患者学】正確な情報…

緩和ケアで必要な患者目線のコトバ

がん治療における「緩和ケア」を説明するのに、WHOの提唱した痛みの概念図は非常によく用いられる。 4つの痛み.pptx 緩和ケア領域の気鋭のリーダーである新城先生が、以前、「『スピリチュアル・ペイン』と言っても患者さんにはわからない。患者さんにとっ…

がん治療の「主治医」は誰か?(2)

前稿では、「がん専門コンサルタント」の資格を創設し、がん治療の「顔(=主治医)」の役割を開業医に担ってもらう案を提唱した。 ではこの体制作りに何が必須条件となってくるだろうか。 まず当然だが、この「がん専門コンサルタント」の力量の担保である…

がん治療の「主治医」は誰か?(1)

先週、癌研有明病院で、国立がんセンター中央病院の前病院長である土屋了介先生の講演を拝見した。土屋先生、この春から癌研の顧問の立場になられており、この日は”お目見得”の講演会であった。 土屋先生のお話は常にエッジの効いた「持論」が聞けて面白いの…

ガラス張りにされた国立がんセンターの治療成績

久しぶりに気持ちの良いニュースを見た。 「難治・再発の癌患者を受け入れ、癌難民を出さない」という日経メディカルオンラインの国立がんセンター・嘉山理事長へのインタビューである。 私が感動したのは、タイトルに見られる意気込みに対してだけではない…

Health2.0 日本での船出

「Health2.0」。 この言葉が日本の言説空間の中で初めて現れたのが、三宅さんの「TOBYO開発ブログ」の2006年12月のエントリー、「闘病記の考察5 情報の信頼性」(http://www.tobyo.jp/tobyoblog/2006/29.html)だろう。 以来3年半余り、海外、特に米国ではHe…

診療報酬明細の発行義務化への反発

診療報酬の明細発行が今年度から原則義務化された。 これは、中医協の唯一人の患者代表である勝村久司さんがかねてから主張されていた話で、「どんな業界でも自分が支払った料金の明細が発行されるのは、社会通念上あたりまえの話」、という発想からきている…

病院のIT活用〜「光の道」:孫vs佐々木対談に思う〜

ブログやTwitterのヘビーユーザーにはかなり知られている話だと思うが、先週木曜日、ソフトバンクの孫正義社長と、IT評論家の佐々木俊尚さんが「光の道」について5時間におよび大討論を繰り広げ、それをUStreamで同時中継する、というイベントがあった。 こ…

ヘルスケア分野のMBA開設のニュースに思う

国際医療福祉大学がヘルスケア分野のMBAコースを開設するらしい。 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/27167.html 医療関係者に、よりビジネス感覚を持ってもらうという試みが漸く始まったのかと思いきや、記事を見る限りでは、DPCのデータをどう経…

iPadが新しい医療を切り拓く?

iPad発売後、早速色んな方面から使用感や今後の可能性について論じられているが、医療にどのようなインパクトをもたらし得るかという点で、The Health Care Blogのエントリーに、面白い示唆が出ている。 題して、"The iPad in Healthcare: A Game Changer?"…

iPhoneアプリから考える、PDAの医療現場での活用

昨日のエントリーでiPhoneを購入したことを書いたが、驚くほど多様なアプリがあるのにビックリ。しかも、"医療"モノがカテゴリーの一番目に入っており、中にこれまた驚くほどたくさんのアプリがある。 「赤ちゃん泣き止み音!」、「赤ちゃん睡眠」みたいなも…

大相撲に見る日本の未来〜外国人初の看護師試験合格のニュースに思う〜

昨日Twitterでちょっと呟いてみたのだが、外国人初の看護師試験合格者が3名出たというニュース、おめでたいというよりこれで良いのかと考えさせられた。 外国人の受験者数は254人、ということは合格率ほぼ1%。 一方で、日本人の合格率は89.5%。 これほど…

外国人医師の受け入れ(続)

昨日のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100321/1269183898) に早速コメントを頂いたので、もう少し議論を進めてみたい。 <受け入れる外国人医師の質の担保> まずは、「ちょこ」さんのコメントに御礼を申し上げたい。ご教示頂いた各…

外国人医師の受け入れ

仙谷国家戦略相が、外国人医師の受け入れ促進について言及したらしい。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100321-00000037-mai-pol 医師不足が叫ばれている中、大学の定員増とか医学部の新設とかいう即効性のない打ち手しか議論されてこなかったが、漸く…

医療情報のハンドルは誰のもの?〜IT戦略案:診療履歴共通データ網〜

今日の日経のトップ記事、「診療履歴共通データ網」は非常に目を引くものだった。 政府のIT戦略本部が、「診療履歴に基づいた適切な医療を全国のどこでも受けられるようにするためのデータベースを整備するなど、医療分野でのIT化推進を柱とする」という方針…

日経新聞の「医療・介護改革 本社提言」

今朝の日経新聞、1面に「医療・介護改革 本社研究会提言」として「[家庭医』を育て病院は高度医療」という見出しで大々的に医療についての提言が掲載されていた。 家庭医の重要性については、このブログでも取り上げてきたが、これだけ大きな特集の目玉とし…

Days of Meaningful Life

土曜日の午後のひと時、スタバで一仕事終えかけた時、後ろの席の初老の女性が話し始めた。 「なんとかシュ、っていうからね、そんなの別にガンだなんて思わないじゃない。それがね、ガンだって医者は言うのよ。悪性リンパ腫っていうらしいの」…「現実を直視…

ジェムザールとドラッグ・ラグ

いわゆる「ドラッグ・ラグ」と呼ばれている問題、最近はマスコミにもかなり取り上げられて人口に膾炙してきているが、同じドラッグ・ラグでも色んなケースがある。 ①全くの新規成分の薬剤の開発が海外より遅れる②既存の成分の薬剤が新たな適応を取得するのが…