世界初! ダートマス大学の医療と経営のジョイント・プログラム

米国アイビーリーグの名門校であるダートマス大学で、世界初の経営と医療のジョイント・プログラム「Master of Health Care Delivery Science」がスタートする。いずれも世界トップレベルにあるビジネススクール(タック)と医療学部がタッグを組むこのプログラム、注目すべき試みだ。


私は、先日のエントリー「日本の医療問題の本質(1)」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20101019/1287500477)で、「現在の医療の様々な問題は、むしろ資本主義的な競争原理や良質のマネジメントの導入が不足しているからこそ起きている」と述べているが、本プログラムを主導して進めているダートマス大学のキム学長は「我が国の医療提供にマネジメントの概念を持ち込まなければ、国が破たんする」と言っており、彼の問題意識も全く同じ所から来ていることが伺える。


詳しくは、添付のPDFファイルを参照して頂きたいが、ここでも簡単に概要を紹介したい。
MHCDS_Condensed.pdf 直


目的:
医療提供体制を根本的に変革することができるような人材を育成する


内容:
”Health Care Delivery Science”とは、医療を如何に提供すべきかの科学。ビジネススクールと医療学部が手を組んで、経営学的なマネジメント体系と医療提供手法のノウハウを組み合わせて植え付ける。
具体的な科目内容は、下記の通り。

The Science of Health Care Delivery Personal Leadership
Fundamentals 1:
Finance Essentials for Leaders in Health Care Delivery
Management and Leadership of Health Care Organizations
Health Economics and Policy
Effective Information Technology for
Health Care Organizations
Strategy for Health Care Organizations
Health Care Operations Management
Fundamentals 2:
Models, Data, and Decisions
Management of Organizational Change
Population Health and Preventive Care
Health Communications: Theory and Skills
Action-Learning Project
Clinical Microsystems:
Designing, Leading, and Improving Patient-Focused Care


期間:
18か月。第1期生は、2011年7月スタート。4学期あり、最初と最後の学期は各2週間、間の2つの学期は各5日間の現地での受講期間が含まれる。その他の期間は、オンラインでの受講で平均週15時間を費やす必要がある。


費用:授業料18か月分トータルで、8万5千ドル(約690万円)




本プログラムでは、日本からも生徒を若干名募集したいとの意向があるようで、私が窓口役を担うこととなった。Tuckは数あるビジネススクールの中でも最もハードなプログラムで有名である。このコースもおそらくかなりハードなものになるだろう。当然だが、英語で現地の人間や教授陣とがんがん議論することが求められる。


一方で医療を変革しようという志のある方にとっては、実践的な武器を学ぶまたとない機会になるだろう。医療とマネジメント(もしくは政策立案・実施)の両方に携わる可能性のある方であれば、誰でも門戸は開かれている。筆者はビジネススクール出身だが、ここの教授陣の「教える技術」は凄味がある。経営の素人でも1年半後には見違える姿になっているだろう。


また、ダートマス大学のあるニューハンプシャー州ハノーバーの環境の良さについても一言。私がこのエリアで生活していた時は、自動車の鍵をかけたことがないくらい治安の良いところだ。かけがえのない経験になることは請け合いである。


本プログラムへの応募に真剣に興味を持たれる方は、ブログ筆者(株式会社メディカル・インサイト 代表取締役・鈴木英介)までご連絡されたい。
 メールアドレス: Eisuke.suzuki@medicalinsight.jp