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早期乳がんでの乳房両側切除は期待するほどの効果出ず

がんに対する3大療法は、「手術」「抗がん剤」「放射線」の3つです。

 

この内、手術の根本思想は、「腫瘍細胞を取り残しが無いように切り取る」ことで完治を目指すとういもので、その意味では「なるべく大きく切除する」という考え方になります。

 

一方、あまり大きく切除してしまうとその後のQOLを損なうため、「可能な限り小さく切り取る」という考え方もあります。

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乳がんの場合、後者の考え方を色濃くすると、腫瘍部分のみを切り取る「温存」になりますし、前者の考え方を採れば乳房全体を切り取る「全摘」になります。早期の乳がんであればどちらも選択肢としてはあり得るので、患者さんとしても悩みどころでしょう。

 

そして「大きく切り取る」発想を突き詰めた場合、日本では主流ではありませんが、がんが見つかっていない反対側の乳房まで併せて切り取ってしまう「両側切除」という手法があります。

 

アンジェリーナ・ジョリーが予防的切除を行なったことが昨年大きなニュースになりましたが、反対側の乳房については、ある意味「予防的切除」と言っても良いと思います。

 

この「両側切除」と「温存」を比較したデータが出てきました。

 

  ■”Double Mastectomies Don't Yield Expected Results, Study Finds”

      「乳房両側切除は期待していた程の結果出ず」(npr、元ネタJAMA)
  ow.ly/B4M40

 

1998年から2011年に治療を受けた19万人の早期乳がん患者の中で、両側切除選択群と温存術選択群の10年生存率を比較すると、81.2%vs83.2%。両者の間に有意差はなく、広範に切除する方がベターとは言えない結果。

 

一方、最も人気のなかった、がんが見つかった乳房のみを全摘する「片側切除群」の10年生存率は79.9%と、温存術と有意差をもって劣った結果となりました。

 

「なるべく大きく取る」=「再発の確率を下げる」という「定石」はこの結果からは否定されたことになります。

 

ただし、この結果について、術式だけでなく、各群の人種差やそれに伴う経済的状況の格差の影響もあるのではという議論はあるようです。

 

乳房再建の技術の発達もあり、どの術式を選択するかは今後さらに難しい判断になりそうですが、今回の研究結果は有力な判断材料になりそうですね。