新規吸入剤インシュリンがFDAに承認
このブログはがん関連の話題を比較的多めに取り上げているのですが、今回はめずらしく糖尿病のお話です。
糖尿病は、経口剤で血糖値をコントロールできている間は経口剤で治療するのですが、それでもコントロールしきれなくなると今度はインシュリンの出番になります。
インシュリンは、炭水化物の代謝を調整するホルモンで、すい臓から分泌されて血糖値を一定に保つ働きを持っています。そのインシュリンを外から補うことで血糖値のコントロールをするわけですが、原則「自己注射」で投与されます。
そこに新規の「吸入剤」が承認されたというニュースです。
■”Afrezza, a New Inhaled Insulin, Is Approved by F.D.A.” <新規吸入剤インシュリン「Afrezza」がFDAにより承認> (NYTimes)
http://www.nytimes.com/2014/06/28/business/afrezza-a-new-inhaled-insulin-is-approved-by-fda.html
注射剤が吸入剤に変わることによる患者側のメリットが非常に大きいのは想像に難くないのですが、この薬が面白いのはその新規性だけでなく、「MannKind Corporation」という無名のベンチャーが独力で開発しきったというところにあります。
なんでも、社長のAlfred E. Mannという88歳の億万長者が私財を投げうってこの薬の開発を支え続けたのだとか。
数百億円単位でかかる医療用医薬品の開発を、個人の会社が成し遂げたのですから、えらいスケールが大きな話です。
実は、吸入剤のインシュリンはファイザーが最初に開発していて、「Exubera」という製品名で市場に出しました。でもどうも大きすぎてまったく市場に浸透せず、撤退を余儀なくされたようです。
まあ、「テニスボール缶」の大きさくらいというのであれば、むべなるかなですね。それに対し、今回のMannkindの製品は「ホイッスル」程度の大きさです。
今後、販売パートナーが見つかり次第、市場に出てくるのだとか。FDAに承認されたとなれば引く手数多でしょうが、今後の進展を楽しみに見てみたいと思います。