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日本の医療界の学術集会を活性化するための5つの改善策〜学術集会を本来の「他流試合」に〜

製薬メーカーの立場を離れて以来、ここ3年近く第三者的な立場で日本の医療界の学術集会に参加しているのだが、ずーっと持ち続けてきた違和感が何なのかが最近はっきり見えてきた。



それは学術集会が議論の場でなく、発表会になっているということだ。もちろん、プレゼンテーションは大事だ。でも、それが主だとしたら、なにも全国からあれだけの数の医療関係者が一堂に会するに値しない。たとえば、「会場から何かありませんか?」となって、ほとんど何もないで座長から1つ2つ質問して終わるか、なじみの顔の先生が感想めいたことを発言して終わる、といったセッションが結構ある。学術集会は本来、「他流試合」であり、科学者として切磋琢磨する場所でなければならないのではないだろうか。


どこかで見た光景だなと思ったが、実はダメな会社の会議に似ているな、と。ダメな会社の会議は、やたらと参加者が多いのだがほとんどの人は発言しない。また発表者からは報告事項だけが多くて、フィードバックがあっても“偉い”人が感想レベルで述べるだけ。


逆に良い会社の会議は、論点設定がしっかりとされて、喧々諤々の議論の末、「では誰がいつまでに何をするか」というアクションプランまで落とし込まれる。これを医療の学術集会にも当てはめるとすると、どんな感じになるだろうか。


<改善策1>スライド発表の時間は半分、議論の時間を半分、とする。
まあ全部のセッションとまでは言わないが、ポスターにしても口演にしても、基本はこれくらいの時間配分にしたら良い。そもそもそういうものだ、という認識をまずは全員に植え付けなければならないので、こうやって形から入ることも大事だ。
ちなみに、会場から議論に参加しうまく場を活性化した人には、専門医のポイントで特別ボーナスみたいなものを付けても良いかもしれない。

<改善策2>発表者と座長は事前に論点を抽出しておく
上記の形をとるためには、何について議論をしてもらいたいのか、また議論をすると面白いのか、を発表者と座長が事前に抽出しておかなければならない。それなしでは、議論が散漫になるし、そもそも時間が余ってしまうだろう。
発表者にとってもこのプロセスを経ることによって、自分が本当に何を言いたいのかがブラッシュアップされることになる。


<改善策3>発表者もしくは会場の参加者の次へのアクション(=宿題)を決める
せっかく議論をするのであれば、最後は感想で終わるのではなく、どんな形で次への研究につなげていくのか、または同じテーマを深堀りするにしても、何をやることで「再チャレンジ」してもらうのか、といったアクション(=宿題)を決めたい。
ここまでいって初めて、全体の研究のレベルが上がるのではなかろうか。


<改善策4>以上をきちんと仕切りきれる人を座長に置く
略歴紹介して2,3感想を述べるのが座長の仕事と思っている人が多いと思うが、そんな「名誉職」的な座長は正直不要だ。まあ、記念講演みたいなものだったらそれでも構わないが。上記の1〜3をすべて仕切るには、それなりにテーマそのものと「仕切り」に精通した実力者でないと務まらない。


<改善策5>明るい場所で発表・議論する
学術集会の会場は、判で押したように窓のない暗い部屋でスライド映写をして、という感じになる。実際のところ、朝からこんな感じだと脳も目覚めないし、皆で議論を闘わせようというポジティブな気持ちも生まれにくいと思う。
ぜひ、窓のある部屋で陽の光も見える中で議論するというスタイルに変わっていってほしい。


この他にも考えれば面白いアイディアがきっと出てくるだろう。ぜひ、英知を結集して、学術集会を「つつがなく」終わらせるのでなく、他流試合前提の「血湧き肉躍る」面白いものに変えていっていただきたい。それでこそ、何万円も出してまで参加する意義があるというものだ。