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*[医療への視点]ジェネリック医薬品にブランド名は要らない

先日の日経新聞の1面は、世界最大のジェネリック医薬品メーカー・テバ社による大洋薬品の買収だった。以前のエントリー「どう育てる?日本の後発品メーカー(1)」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100601/1275404570)にも書いたが、日本のジェネリック医薬品はともかくメーカー数が多過ぎること自体が問題で、これを契機にもう少し国内のジェネリック医薬品メーカー同士の合従連衡・淘汰が進む事を期待したい。


実は、昨日もそんな事を切実に感じる処方体験をした。


「歯痛と副鼻腔炎」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20110415/1302875031)にも書いたように、先月副鼻腔炎になってしまったのだが、これが1週間抗生剤を服薬して治ったかと思いきや、その後1週間経たないうちにまたぞろ痛みが出てきた。その後痛みが出たり引いたりを繰り返していたのだが、ここ1週間くらい右頬の内側から歯茎の上あたりにかけてどうにも重たさと鈍痛が抜けずに、致し方なく六本木ヒルズクリニックの耳鼻科を再受診。


もうちょっと長期に抗生剤を投与しないとダメですね、ということで、処方内容は先回と同じ抗生剤のクラリスと去痰剤のサワテンを今度は2週間分。あとは先回頻尿の副作用が出た抗アレルギー剤をクラリチンに変え、鎮痛剤と胃薬は抜いてもらった。


先回はそのまま六本木ヒルズの中にある調剤で薬を購入したのだが、今回は「近所で見つけたオモシロ薬局〜健ナビ〜」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20110221)でも紹介した「健ナビ薬局」を夕刻訪ねて薬剤購入する事にした。


そこでおもむろに始まった会話が、↓のような感じだ。


薬剤師:「鈴木さま、ジェネリック医薬品はご存知ですか?」
私:「ええ、知ってますけど、あんまり信用していないので先発品にして下さい。」
薬剤師:「わかりました。あ、でもこの『サワテン』はジェネリックですね。」
私:「『サワテン』って先発品のブランド名は何ですか?」
薬剤師:「ムコダインです」
私:「ああ、ムコダインでしたか。まあそのブランド名なら沢井薬品のでしょうから、それなら良いですよ。」
薬剤師:「それが実は、サワテンは当店では置いていないのです。大洋薬品のものならあるのですが。」
私:「え、大洋?それはやめておきます。それなら先発品(ムコダイン)にしてください。」
薬剤師:「それが。。。先発品に戻す場合も医師に処方変更の確認を取らなければならないんです。ここにこのようにハンコが押してあるので。」
私:「え、何で?それって、先発品を後発品(ジェネリック)に変える時の話じゃないんですか?」
薬剤師:「いえ、先発品に変更する場合も確認が必要になるんです。」
私:「じゃあ、大洋の後発品なら要らないとか?」
薬剤師:「その場合でもブランドが変わる場合は確認が必要なんです。」
私:「。。。同じ確認が必要なら先発品が良いです。では、確認してください。」
・・・
薬剤師:「あのー、六本木クリニックさんもう営業時間外でした」
私:「えー、それじゃぁどうしたら良いのですか?」
薬剤師:「近所にサワテンの在庫を置いている薬局を探してみます」
私:「・・・」


最終的には比較的近所の別の調剤薬局に該当のサワテンが置いてあったので、薬剤師さんがそこまで取りに行きその日のうちに処方してもらう事はできたが、ジェネリック医薬品の抱える問題を象徴するようなプロセスだった。


大体において、在庫管理の煩雑さを考えたら、マイナーなジェネリック・ブランドまで街の調剤薬局レベルではいちいち置けないだろう。ましてや、これがジェネリックのブランドが10も20もあるような成分では、院内調剤や併設の薬局でもない限り医師の処方と一致させるのは奇跡に近い。


それでいて、別のジェネリックに変えるのにもいちいち医師への疑義紹介が必要というのでは、業務は非効率になる。更に言えば、患者がOKと言っているのに、後発品⇒先発品、まで疑義紹介が必要とはナンセンスだ。


望むらくは後発品メーカーがもっと統合されていく事だが、それを待っているわけにもいかないので、こんな対応をしたらどうだろうか。


? すべての後発品のブランド名を廃止し、製品名は「成分名+会社名+剤形・用量」に統一する
(上記のサワテンであれば、「カルボプラティン(沢井)500mg錠」とする)

? 処方箋で後発品名を書く時は、すべからくジェネリック・ネーム(成分名)に統一し、後発品であればどの製品であろうと疑義紹介は不要とする。

? 医師が先発品を処方する方がベターと判断する場合は、先発品のブランド名を記入し、調剤での変更を不可とする。これを調剤で後発品に変更する場合のみ、医師への疑義紹介が必要なものとする。(逆にジェネリック・ネームで処方箋に記入されているものを先発品に変更する場合は、疑義紹介は不要とする)


こうすれば、調剤薬局で持つべき後発品は原則1ブランドでOKということになるし、何よりも医師も患者も薬局も確認の手間が極力省けるので、「三方両得」となる。更に、こうすることによってジェネリック・メーカー間の競争が促進され、少数の強いメーカーに収斂していく事が期待できる。


ジェネリック医薬品の普及を促そうとするのなら、こうした仕組み作りこそが本質的な打ち手になるのだ。