有吉九段が反則負け???

友人・知人にもあまり話したことがないのだが、実は中高時代、将棋部員だった。小さいころから父や叔父たちに鍛えられたおかげで将棋好きになり、そんなに強い方ではなかったけれども将棋の持つ奥深さの一端は感じていた。


初めて買った本が有吉九段の著書で、「棒銀戦法」(クラシック!)って凄い、と感動した覚えがある。というか、この記憶は、有吉九段が名人戦のC級2組から降格して年齢規定により引退、という最近のニュースで蘇ったのだ。


その有吉九段、まだ対局していたらしく、竜王戦の予選で二手続けて指してしまって、掲題の「反則負け」を喫したらしい。999敗目だそうだが、実力至上主義の棋界において、これだけ負けを重ねられたということ自体が素晴らしい。(その分、勝ち星を積み重ねてきたということの証左なので)


しかし、思うに将棋や囲碁の世界ほど、実力至上主義でかつアカウンタビリティが厳しく求められる職業はないであろう。何せ、周囲に対してだけでなく自分に対しても、打った手に対して逐一アカウンタビリティが必要なのだから。麻雀やビジネスは「配牌」や「場の流れ」の運不運が無いとは言えないが、将棋や囲碁はそういった要素が殆ど無い。


「言い訳の利かない世界」で厳しく自分を律しつつ精進を重ねられた有吉九段に、拍手を送りたい。