1259024678**[医療への視点]NHKスペシャル

昨晩、NHKスペシャル立花隆さんがレポートしたがんの特別番組が放映された。番組での立花さんのメッセージは、がんの発生・進行の機序はおそろしく複雑であり近未来にがんが「治る」薬が開発される見込みはないこと、がんにとらわれない生き方をすることそのことががんの克服ということではないか、ということであった。


癌治療学会での立花さんの講演を聞いた時も思ったのだが、そうはいっても、年齢によってがんの持つ意味が変わってくるのではないか。がんがある意味避けられない「老化現象」ととるのであれば、若干乱暴ではあるが、たとえば60代までのがんと70代以後のがんとで、克服の定義とそのための戦略をまったく変える、というのも一つの手だろう。


すなわち、60代までは「がんによる死亡」を無くなるようにすることががんの克服、と定義して、ここまではともかく「予防」と「検診」を徹底的に行ない、もし発見されたら、手術および抗がん剤治療を積極的に行なう。
70代以後は、基本的に緩和医療に集中してQOLを可能な限り担保し、その人なりの人生の全うの仕方を支えることが、「がんの克服」とする、ということである。


人を年齢で区切るな、という声が聞こえてきそうだが、どこかで線を引かないと社会的コストが増大する。何が「正しい」か、議論を進めていかなければならない点ではないか。