抗がん剤も「経済性」を問われる時代が、待ったなしでやってきた

4月7日付けの日本経済新聞一面トップニュースは、↓でした。

 

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薬価、割高なら下げ 効果と見合うか検証 

18年度から 厚労省、まず4種・4機器

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厚生労働省は2018年度から、高額の薬について価格(薬価=総合2面きょうのことば)の算定方法を見直す。同じような効果を持つ薬を比較して、割高なほうの価格を適切な水準に下げる。年40兆円にのぼる医療費の約4分の1を占め、高額化の一途をたどる薬剤費を抑える。非常に高価な一部の抗がん剤などが対象になる可能性がある。英国などを参考に、高い価格に見合う効果があるかという「費用対効果」のものさしを薬価に導入する。

 

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 同省の専門家会議がデータを分析し、費用と釣り合う効果があるか見極める。たとえば高額な抗がん剤を服薬した場合にどれだけ延命や症状緩和効果があったかや、後遺症や生活の質がどのくらい改善するかを同種の薬と比べる。費用には薬代だけでなく入院費や検査代も含める。

 既存の薬に比べてさほど効果が変わらないのに価格が2倍になっている薬があれば、「費用対効果が低い」として値下げする。高額でもそれに見合う効果が認められれば値下げしない見通しだ。

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いよいよ来ましたね。

 

本ブログでも再三指摘していますが、近年承認されている抗がん剤の薬価のレベルは、明らかに保険財政的に持続不可能な高さになってきているものが多いです。

 

薬価に最も寛容な米国ですら、↓のような話が出てきました。 

 ■”Cost-Effectiveness of Pertuzumab in Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Metastatic Breast Cancer”「HER2陽性乳がんにおけるペルツズマブの費用対効果」(Journal of Clinical Oncology)

  

HER2陽性の乳がんの治療法として、旧来の「ドセタキセル(タキソテール)+トラスツズマブ(ハーセプチン)」(TH)に対し、「ドセタキセル(タキソテール)+トラスツズマブ(ハーセプチン)+ペルツズマブ(パージェタ)」(THP)の方が治療成績としては良好で、今ではこちらが標準療法になっていますが、追加費用に見合うくらい良好と言えるかどうかということを調べた文献です。

 

生存期間の中央値は、THが39.4ヶ月に対しTHPは56.9ヶ月と、17.5ヶ月(1.81年)の延長効果があります。

 

ただし、副作用も更に増えることも加味すると、本当の意味で元気でいられる期間の延長(これをQALYと呼びます)は、0.62年のみと計算されます。

 

この0.62年のQALY(元気でいられる期間の延長年数)に対する費用は47万ドル。

10万ドル/QALYの目安を大幅オーバーで費用対効果は認められず、というのがこの論文の結論です。

 

まあ、そんなQALYベースのややこしい計算しないまでも、生存期間の延長を丸々カウントしたとしても10万ドル/年は軽く超えてしまうのはすぐわかると思うのですが...

 

いずれにせよ、国内でも海外でも、抗がん剤の「経済性」を問われる時代が、待ったなしでやってきたと言え、今後の製薬メーカー各社の対応と当局との交渉の行方が注目されます。

 

【推薦図書】「がんとともに、自分らしく生きる」

虎の門病院の腫瘍内科医である高野利実先生が、初めての著書を出されました。

 

がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う「HBM」のすすめ―

がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う「HBM」のすすめ―

 

 

   

高野先生曰く、「最近の、『近藤本』や『アンチ近藤本』の刺激に疲れた患者さんの心にしみるような文章を心がけました」とのことでしたが、実際に読んでみて、今までがん治療医が書かれた本の中でも、患者さんに寄り添った優しさを特に強く覚えました。

 

この本の功績は、2つあると思っています。

 

1つは、「抗がん剤治療を行なわない」のもオプションの一つであると、抗がん剤のプロである高野先生が明確に述べ、実際に有効な手だてがある可能性が残された中でも抗がん剤治療を中止された事例がいくつも紹介されていることです。

 

実は、「抗がん剤治療を行なわない」オプションを示すことは、心あるがん治療医はきちんと行なっているのですが、近藤誠医師がらみの論争だと、「抗がん剤は是か非か」という観点のみが語られ、がん治療医側からの反論がどうしても「抗がん剤は是」という部分が強く聞こえてしまうきらいがありました。

 

しかし、本来の治療選択は、患者さんが「どう生きたいのか」ということを出発点にして考えるものであり、抗がん剤治療を行なわない選択肢も取り得るものです。

 

高野先生は、この、「患者さん一人ひとりの想い、価値観、語り合い」をベースにした医療を「HBM(Human Based Mdeicine)」と呼び、「EBM(Evidence Based Medicine)」の更に一歩先に考えなければならないものとして位置づけています。

 

もう1つの功績は、「抗がん剤治療を行なわない」選択肢は、近藤誠医師の言う「放置治療」とは異なるということをはっきりさせている点です。

 

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本書でもたくさん登場したように、私の患者さんたちのなかで、抗がん剤を使わない選択をした方は多くおられます。私が抗がん剤治療をやめるようにすすめることもよくあります。これを「がん放置療法」と呼ぶのであれば、私も、「がん放置療法」という選択肢を積極的に取り入れているということになります。

でも、私は、抗がん剤を使わないとしても、患者さんを苦しめているものを放置することはなく、できる限りの緩和ケアを行いますし、責任をもって患者さんの診療を行います。

 

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近藤さんが、「何かあったら、私のところに駆け込めばいい」と言って、受け皿を用意してくれていればいいのですが、残念ながら、そんなことはありませんので、いざ、病状が進んで、医療が必要になったときに駆け込む先は、一般の医療機関です。

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これは、「がん放置療法」というよりも、「がん患者放置療法」で、あまりに無責任だと思っています。

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抗がん剤治療に疑問を持たれながら治療を続けているような方、是非本書を手に取られることをお勧め致します。

 

再生医療とがん治療〜 iPS細胞を用いた新しいがん治療の可能性〜

通常このブログでは、抗がん剤に関しては臨床試験成績がはっきりした情報しか載せないのですが、本号では先日行なわれた再生医療学会で仕入れた、「非臨床」つまり動物実験レベルでの研究情報をお届けします。

 

「最先端」は「最良」を意味する訳ではまったくありませんが、それでも未来のがん治療の可能性を感じで頂けるのではないかと思います。

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<がんと戦うT細胞は「数と若さが足りない」>

 

再生医療」と聞くと、がん治療とはちょっと関係のない世界に思われるかもしれません。私も、がん治療というよりは、別の疾患の治療の可能性の広がりを知るために、再生医療学会に参加してきました。

 

とはいえ、がん治療の話題もあり、その中で特に興味深かったのが次に挙げる2つの発表です。

 

 ■「iPS細胞を介した抗原特異的T細胞の再生」 

(第15回日本再生医療学会総会 ランチョンセミナー17 京都大学iPS細胞研究所 金子新先生)

 

 ■「がん治療に向けた次世代型CAR-T細胞療法の開発」

(第15回日本再生医療学会総会 シンポジウム17 免疫が変える“がん治療の世界” 山口大学 玉田 耕治先生)

 

金子先生によると、免疫機能の中で、がんを「敵」として認知し攻撃する中心的な役割を果たすT細胞は、「数と若さが足りない」のが問題です。

 

そこで、「数」を増やそうという治療法が「CAR-T細胞療法」で、「若さ」を保とうという治療法が「免疫チェックポイント阻害剤」と言えると。今この2つは、臨床開発ラッシュで、まさに”これからが旬”と言える治療法です。

 

本メルマガでもこれらの治療法については既に取り上げていますので、詳しく知りたい方は↓エントリーなどをご参照ください。

 

 ■「ホンモノの免疫療法」の登場:PD-1阻害剤 
   http://medicalinsight.hatenablog.com/entry/2014/10/10/162726

 

 ■画期的抗がん治療「CAR-T細胞療法」が1回5000万円超だって???
   http://medicalinsight.hatenablog.com/entry/2015/12/30/235516

 

先に挙げた2つの発表演題は、これらの治療法の更に先を行く可能性のある研究です。

 

 

<「数も若さも」補う”iPS-T細胞療法”>

 

まず、iPS細胞を用いた新治療法の可能性からいきましょう。

 

iPS細胞といえば、ご存知ノーベル賞受賞者の山中伸也先生が発見した、「人間の皮膚などの体細胞に、極少数の因子を導入し、培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞」(出典:CiRAホームページ)です。

 

がんを識別する探知機をきちんと備えているT細胞は、一方で、がんから発せられる様々なシグナルを受けているうちに、どんどん「疲弊」していってしまいます。

 

そこで、がん細胞を識別する探知機を備えたT細胞を取り出し、体外でiPS細胞の技術を用いて「初期化」して(つまり若返らせた上で)大量に増殖させ、再び体内に戻すというのが、金子先生が考えられた治療法です。

 

まだ正式名がついていないようですが、ひとまず「iPS-T細胞療法」と呼んでおきましょう。

 

ここで面白いのが、初期化しても探知機部分は機能が保存されるという点。本体のミサイル部分だけが新しいものに入れ替わって大量増殖・投入されるという図式です。

 

数と若さの問題を同時に解決しようということですね。面白い。

 

「敵(がん細胞)をロックオンした状態のミサイルを大量に製造して戦場に投入する」という意味では、基本思想はCAR-T細胞療法と同じで、違うのは探知機部分の性能の差です。

 

既存のCAR-T細胞療法は、探知機のがん細胞のロックオン度合い(抗原特異性)がややアバウトなため対応できるがん種もかなり限られてくるのですが、iPS-T細胞療法は一旦がん細胞を完全にロックオンした探知機を使うため、理論上どのようながん(抗原)であれ、完璧に狙い撃ちできます。

 

動物実験レベルですが、有望そうなデータが紹介されていましたので、今後、臨床開発に順調に進んで行くことを期待したいと思います。

 

 

<次世代型CAR-T細胞療法は固形がんにも有効な可能性>

 

次に次世代型のCAR-T細胞療法についてです。

 

以前のメルマガにも書きましたが、がん細胞は色々なシグナルを出して、T細胞ががん細胞を異物と認識するプロセスを邪魔することができ、T細胞の攻撃態勢が整わないようにしてしまいます。

 

そこで、T細胞を体外に取り出して、がん細胞の表面にある印(抗原)を認識できる受容体をT細胞の表面に人工的に発現させ、その”探知機付き”のT細胞を大量に増殖させてから体内に戻します。

 

すると、体内でそのT細胞がさらに増殖した上で、標的であるがん細胞に対し攻撃を加える、というのがCAR-T細胞療法です。

 

すでに治験で素晴らしいデータが出ているのですが、今後を見据えたとき、現状のCAR-T細胞療法の最大の問題点は、ターゲットとなるがん種の幅が狭いことです。基本的に対象となりそうなのは血液がんのみで、固形がんには期待できません。

 

この大きな理由と考えられるのが、現状のCAR-T細胞療法はターゲットできる抗原が1つしかないということです。

 

これだと前述したようにロックオン度合いが”甘い”。

 

玉田先生のグループは、このボトルネックの解消を目指すべく、複数の抗原(標的)を認識できる新しいCAR-T細胞を開発し、研究を進めています。

 

詳細の技術説明は割愛しますが、この次世代型のCAR-T細胞療法だと、今まで対象となり得なかった固形がんに対しても基礎実験レベルで有望なデータが出ており、こちらも臨床開発へのステップアップが予定されているようです。

 

 

ということで、iPS-T細胞療法と次世代型CAR-T細胞療法、日本発の研究として花開くことを期待したいと思います。

 

一方で、将来的に臨床の現場で広く使われていくようになるためには、コストをどの程度セーブできるかというところも重要になりますので、この点も合わせて今後注視して参ります。

 

エビデンスが必要なのは医療だけじゃない〜大阪の事故とGoogle車〜

あるモノを使うことで、日本だけで年間4000人以上が亡くなられ、70万人の怪我人が出ています。

 

その「モノ」とは自動車です。

 

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私もちょくちょく出入りする大阪の梅田で、大変痛ましい事故が起きました。

 

daily-news.jp

  

 

原因は、その後の報道にもありますように、この車の運転手が運転中に「大動脈解離」を発症したことにあります。

 

「大動脈解離」によるいわゆる「突然死」は、文字通り予知できるものではありません。

防ぎようがなかった事故だと言えましょう。

 

過失のあるもの・ないもの含めて、人間が運転する限り、一定の確率で事故は起き、先ほどの年間4000人以上の死者と70万人の負傷者を生み出している訳です。

 

そこで、本来なら「自動運転」の議論がもっと盛り上がるべきところだと思うのですが、こんな記事が出てきました。

 

 ■「自動運転の夢遠のくグーグル過失事故 人間、AI…責任は誰に? 難題の好例」(SankeiBiz)

  

 

この記事によれば、グーグルの自動運転車は、累計で224万キロの運転を行なってきていて、今回が初めて自らの過失により起きた事故。しかも、誰も怪我はしていません。それまで起きていた17件の事故はすべて、人間が運転している車側に過失がありました。

 

2009年度時点で、日本国内でのあらゆる車の走行距離を足すと大体5000億kmくらいになります。(出所:国土交通省 自動車燃料消費量統計)

 

これに対し、同時期の人身事故の発生件数は約70万件、物損数は約700万件です。

(出所:日本損害保険協会)

 

ということは、

 

 ・人間の車の運転:70万kmで人身事故1件。物損10件

 ・Google車の運転:224万kmで人身事故0件。負傷者0。物損1〜2件(自分も相手も壊れていたら2件カウントとなる)

 

となります。ここから推察されるのは、Google車のような自動運転車のみの世界になれば、現時点の技術でも事故を現状の1〜2割程度にまで引き下げられるということです。

(米国のカリフォルニアの道路と日本の道路とでは環境は異なるため、ここは少しラフな議論ではあります。)

 

また今回のような事故が起きれば対策が確実に打たれますので、事故は更に減っていくでしょう。

 

それが、この記事の見出しの「自動運転の夢遠のく」ってなんなんでしょう。

人が運転するのは事故があってもよくて、機械だとゼロでないといけないってことなんですかね?

 

「危険性」は絶対評価ではなく、相対評価で考えるべきです。

 

例えば、人が手術すると1000件に1件はミスが起こり、ロボットが手術すると1万件に1件同等のミスが起こるとしたら、ロボットにやらせるって話になるでしょう。

 

医療において「Evidence Based Medicine(科学的事実に基づく医療)」が基本なのと同じく、政策や報道も「Evidence Based」で論じて頂きたいものです。

スタバの「砂糖問題」に思う「汁物」の危険性

スターバックスが、批判に晒されています。

 

gigazine.net

  

 

「Grape Mulled Fruits」というスパイス入りのホットドリンク(たぶん日本では未発売)には、なんと砂糖小さじ25杯分に相当する砂糖が入っているとのこと。

 

これは、WHOが示す、成人が1日当たりに摂取する砂糖の目安量の約4倍に相当するということです。

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私はほぼ毎日のようにスタバを利用していますが、この類いの「甘い」飲み物には一切手を出しません。

 

これは、上記の事実を知っていたからというよりは、経験的に「汁物」の方が色んなものを過剰摂取し易いということを知っているからです。(どんなに美味しくてもラーメンの汁は残すのも同じ理由によります)

 

でも、固形物のスイーツ、特にケーキとかプリンは好きなので、よく食べています。

 

実際のところどうなのかということで、スイーツや甘味飲料が砂糖をどれくらい含有しているのか、よくわかるサイトを発見しました。

 

blog.livedoor.jp

  

  

WHOガイドラインでの一日の砂糖摂取量の目安は25グラム、角砂糖で約8個分です。

 

上記のサイトで紹介されている、主だった食品/飲料の”角砂糖換算”をいくつか挙げますと、、、

 

・大福:3個

プッチンプリン:5個

・ショートケーキ:8個

・コーラ(350ml):10個

・カルピスウオーター:18個

・マックシェイク:30個(!)

 

こう見て頂くと、いかに「汁物」が危険かがおわかりかと思います。(まあ、マックシェイクは汁物ではないかもしれませんが...)

 

しかし、私もプリンはともかくケーキはもうちょっと控えなければならないかも...

全がん協の新データから見える、がん治療10年の進歩

年明けに全国がんセンター協議会(全がん協)から、本邦初のがんの「10年生存率」データが発表され、比較的大きなニュースとなりました。

 

www.nikkei.com

   

 

全がん協の生存率データ自体は以前の記事で取り上げたものなので、ご記憶の読者の方もいらっしゃるかもしれません。

 

medicalinsight.hatenablog.com

  

 

今回、日経の記事を始め、部位による差に報道のフォーカスが当たっていた感じがしますが、もっと大事な観点は、同じ部位・同じステージ・同じ年齢層の患者さんの生存率が以前と比較してどう変化しているか、です。なぜなら、そこにがん治療の「進歩」が見て取れるからです。

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50歳代でステージ1のがんを発症したとして、1997年に診断された人⇒2007年に診断された人、で、代表的ながん種で5年後の相対生存率(がんによる死を免れた率)を比較してみましょう。(上記記事時点では2005年被診断者のデータまでしかありませんでした)

 

・胃がん 96.2%⇒96.3%

・大腸がん 87.9%⇒99.1%

・肺がん 80.6%⇒93.2%

乳がん 96.5%⇒99.4%

 

胃がんはほとんど変化なしですが、大腸がん・肺がんは大きく改善しています。そして、乳がんは若干改善といったところでしょうか。

 

ちなみに、日経の記事で槍玉に挙げられた膵臓がんは、ステージ1の症例数が極めて少なく、信頼に足るサンプル数がそろっていません。(それだけ、早期発見が難しい部位なのです)

 

では、ステージ4ではどうでしょう。

 

・胃がん 11.0%⇒8.0%

・大腸がん 7.3%⇒22.0%

・肺がん 2.2%⇒4.8%

乳がん 32.1%⇒31.4%

膵臓がん 5.5%⇒0.8%

 

となり、ステージ4だと大腸がんを除いて、残念ながらあまり改善していないように見えます。

 

大腸がんは、確かに2000年代に新しい治療法が出てきて標準療法が書き換えられましたが、他の部位でも新しい治療法はそれなりに出てきており、どうもイメージに合いません。

 

そこで、ステージ4での治療成績をよりストレートに反映すると考えられる「1年生存率」で比較してみました。

 

すると、、、

 

・胃がん 29.4%⇒46.8%

・大腸がん 45.5%⇒75.4%

・肺がん 30.4%⇒47.8%

乳がん 73.9%*⇒81.3%

膵臓がん 27.0%*⇒21.3%

 

*1997年の被診断群のみだとサンプル数が不足していたため、1997/1998年の被診断群のデータとした

 

となりました。

 

膵臓がんだけ数字が悪化しているのが若干気になるところですが、大腸がんのみならず胃がん・肺がんも明確に改善しています。

 

やはり、がん治療は全体として着実に「進歩」しているのです。

あとは、米国の「Moonshot」の如くいかにギアを上げてこの進歩を加速化させていくか、ですね。

知ってますか?「かかりつけ医」の専門医資格

皆さん、身体に何らかの不調が出てきた時、最初にかかる医師を決めていますか?

 

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ow.ly

Spotlight

  

 

実際、いろんな病気や怪我で病医院を受診する際、「どの科に行くべきか」迷われることも多いかと思います。

 

しかし、残念ながら日本の多くの医師はその専門性がかなり細分化されているため、患者自身が受診する科を決めてしまうと、「見落とし(=誤診)」が発生することになります。

 

従って、記事中にあるように、信頼できる「かかりつけ医」を持つことが大事なのですが、ではどんな医師をかかりつけ医に持つべきか、というのはあまり知られていません。

 

「かかりつけ医」がいるという方でも、せいぜい「近所で評判の良い内科医」を選ぶというのがよくあるパターンではないでしょうか。

 

実は、かかりつけ医にも「専門医」資格があるのです。日本プライマリ・ケア連合学会が認定している「家庭医療専門医」という資格で、彼らはまさに「診立て」と「一次治療」の専門医です。

 

NHKの番組で「総合診療医ドクターG」というのがありますが、まさにあの「ドクターG」ですね。

 

この学会の専門医制度はまだ歴史が浅いですが、一応、この学会の「家庭医療専門医」「指導医」の資格を持つ先生方は相応のレベルがあると考えてよいでしょう。

 

もちろん、専門医資格を持たれていなくても、「かかりつけ医」としての技量を備えている医師は一定数いらっしゃいますが、何も情報がないところであれば、まずはこの資格を持つ先生を優先的に探されると良いかと思います。

 

上記の資格を持つ先生方のリストは↓の通りですので、ご参照ください。

 

 ■「指導医一覧」(日本プライマリ・ケア連合学会) 

 ■「専門医一覧」(同上)

  

*指導医一覧は、指導医3,386名の内、情報公開の賛同を得られた医師2,215名。専門医一覧は、専門医500名の内、2015年10月末日までに情報公開の賛同を得られた医師398名のみの掲載。