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イシュラン編集長が選ぶ2015年のがん医療界5大ニュース!

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第5位:反論続々、近藤誠医師の”怪進撃”に待った!

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近藤誠医師については、多くの心ある医療人がその言説の誤りや危険性について、厳しい指摘を繰り返してきました。

 

しかしながら、残念なことにそうした「声」は一般の方にはなかなか伝わりませんでした。

 

ベストセラーを連発する近藤医師を持ち上げ続けてきた、マスコミや週刊誌にも大いに責任があるわけですが、一般の方によりわかりやすく伝える術を持たなかった(持とうとしなかった)、がん治療医側にも責任の一端があったでしょう。

 

そんな中、今年の夏にがん治療医が著した2冊の本が相次いで出版されました。

 

  ■「医療否定本の嘘」(勝俣範之)

 

  ■「がんとの賢い闘い方 『近藤誠理論』徹底批判」(大場大)

 

 

勝俣医師の今作は、前作「『抗がん剤は効かない』の罪」よりずっと一般の方にもわかりやすい形で書かれた良著です。

 

また、大場医師は週刊新潮上で反近藤論の狼煙を上げ、書籍のみならずブログでも警鐘を鳴らし続けています。

 

そして最後、極めつけだったのが、女優の川島なお美さんの遺作です。

 

  ■「カーテンコール」(川島なお美、鎧塚稔彦)

 

 

川島なお美さんは、この遺作の中で、近藤医師(と読み取れる医師)にセカンドオピニオンを求めたこと、そしてその場で胆管がんの病状について「手術しても生存率は悪く、死んじゃうよ」という非常に冷酷な宣告を受けたことを記しています。

 

さらに、ラジオ波で焼却することを勧められたものの、ラジオ波の専門の医師に受診してみると、胆管がんでは勧められない治療法であることがわかり、「あれって一体なんだったんでしょうか?」とまで書いています。

 

近藤医師の医師としての腕前への根本的な疑問や、患者に対してのコミュニケーションの杜撰さが、一般の方に対してこのようなインパクトある形で露呈されたのは、これが初めてでしょう。

 

いずれにせよ、2015年は近藤誠医師のこれまでの”怪進撃”についに待ったがかけられた年、となりました。

 

 

 

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第4位:待望のがん患者の全国組織「全国がん患者連合会」設立

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患者会」というと、一般の患者さんからするとあまり馴染みが無い、少し距離のある存在かもしれません。

 

しかし、国や自治体の政策を決める上で、患者さんの声を反映させるという意味では、非常に重要な存在です。

 

例えば、海外に比べ日本での薬剤の承認のタイミングが大きく遅れる、いわゆる「ドラッグラグ」問題が近年かなり改善されてきたのも、患者会の力が大きかったりするのです。

 

そういう意味で、しっかりした全国規模の患者団体があるのが望ましい姿なのですが、日本のがん領域では実はこれまで比較的短期間に、有力な団体が浮かんできては瓦解するという歴史を繰り返してきました。

 

これは、一部の個のリーダーシップに頼ってしまったり、特定の代替療法やエビデンスの乏しい治療法を推奨する人たちが団体の運営に紛れ込んでしまったり、といったことが原因だったと思われます。

 

それが、今年の5月に全国がん患者連合会が立ち上がり、潮目が変わりました。

 

全がん連の運営やサポートに携われている方々の多くと私も個人的にお付き合いがありますが、いずれも「出会えて良かったな」と心から思える素晴らしいメンバーで、必ずや求心力を伴った長続きする団体になると確信しています。

 

12月には、初の試みである「がん患者学会」が開かれ、私もオブザーバーとして参加してきました。

今後この場が、「産(製薬会社/医療機器メーカー)・患・官・学・報(マスコミ)」が一堂に会し、

 

・患者視点で見た時のがん医療の問題点を洗い出す

 

・それをどうやったら解決し、患者さんにとって意味のある「製品・政策・臨床・報道」ができるのかを割り出し、各立場のアクションまで落とし込む

 

・やると決めたアクションがどうであったかを検証する

 

ような場に発展していくことを期待すると同時に、私自身もできる限りのサポートを差し上げていく所存です。

 

 

 

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第3位:”ホンモノの”免疫療法時代の幕開け

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昨年の本メルマガでの5大ニュースの1位は、「ホンモノの免疫療法の登場」でした。

 

「ホンモノの」というのは、日本でがんの免疫療法というと、樹状細胞ワクチン療法やらNK細胞療法など、治験で有効性や安全性がまったく確認されていない「えせ免疫療法」が目立ちますが、これらとはまったくの別物だからです。

 

昨年その萌芽を見せた免疫チェックポイント阻害剤関連のニュースは、今年実際にブームと言って良いような状況になってきました。

 

アカデミアの世界では、ASCO(米国臨床腫瘍学会)の最大のテーマが免疫療法でしたし、日本のがん治療関連の学会でも、この「ホンモノの免疫療法」に大きな時間が割かれていました。

 

medicalinsight.hatenablog.com

   

 

また、10月27日のNHKクローズアップ現代」で免疫療法が取り上げられるや、上記のブログエントリーにも爆発的なアクセスがありました。

 

www.nhk.or.jp

   

 

そして、この年末にいよいよ、ニボルマブがメジャーながん種である「非小細胞肺がん」で、日本でも適応を取得しました。

 

  ■「オプジーボ®「一般名:ニボルマブ」切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに関する効能・効果に係る製造販売承認事項一部変更承認取得小野薬品工業

   

 

抗がん剤の治療の主役として、化学療法に分子標的薬が加わったのが過去10年だとしたら、ここからの10年はそこに(ホンモノの)免疫療法が加わる、もしくは取って代わる可能性が大きそうです。

 

その意味で、今年は「免疫療法時代の幕開け」の年と言って過言ではないでしょう。

 

 

 

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第2位:抗がん剤の超高額化の波止まらず、「Value」が求められる時代へ

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今年のASCO(米国臨床腫瘍学会)で「免疫チェックポイント阻害剤」と共に大きなテーマとして取り上げられたのが、「Value」のコンセプトです。

 

いきなり、「Value」と言われても何のことだかわかりにくいですね。

 

大雑把に言うと、その治療で見込める「効果」から「副作用」を差し引いた価値が、治療にかかる費用と見比べてどうか、というのが「Value」の考え方です。 

 

ASCOは、この「Value」の概念を、医師と患者で行なう治療方針の決定の場に持ち込むべきと考えています。その大きな理由の1つが、「がん治療にかかるコストが格段に高額になってきたこと」です。

 

このメルマガでも何度か取り上げているように、昨今の分子標的薬は年間のコストが数百万円レベルですし、最近では1000万円を超えるような超高額の抗がん剤まで出てくるようになりました。

 

medicalinsight.hatenablog.com

   

 

Palbociclibの米国での薬価は、月額$9,850(約120万円)。1年間もし服薬を続けるとすると、$118,200(約1400万円!!)です。

 

乳がんの領域では、HER2陽性の進行・再発乳がん治療薬であるカドサイラについでの年間1000万円超えとなります。

 

そして、期待の免疫チェックポイント阻害剤を初めとした免疫療法剤も同様で、先述のニボルマブ

年間薬剤費が1500万円を超える超高額薬剤です。

 

医療保険のカバーが限定的な米国だと、「がん治療費で破産」ということも現実としてあり得ます。

日本でも、ここまで高額な薬剤費を厳しい保険財政の中で賄えるかとなると、大きな不安が残ります。

 

「Financial Toxicity(財務毒性)」という言葉まででてきているように、抗がん剤は本当にそれだけの「価値」があるかどうかが、今後厳しく問われる時代に入ってきたと言えましょう。

 

   

 

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第1位:世の中の「がん」への関心が一気に上昇

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その「異変」は9月24日に突然起きました。

 

それまで、400-500程度だった、乳がんの病院・名医ガイド「イシュラン」への1日あたりの訪問ユーザー数が、一気に1200を超えたのです。その次の日も1000を超える数。その後も多少減ったものの、「高原状態」が続いています。

 

同様の傾向は、私のブログへのアクセス数でも見られました。

 

原因は、北斗晶さん。

乳がんの罹患をブログ上で公表されたことが、翌日一気にニュースとしてかけめぐったのです。

 

ameblo.jp   

 

北斗さんのニュースは、その後の経過も含め繰り返しワイドショーや週刊誌で取り上げられ、その影響からか、秋口以降は乳がん検診の予約がどこも満杯という状況になりました。

 

www.j-cast.com

  

 

受診者の不利益も多い40歳未満の方にまでこの動きが広がったことは、マイナス面もあるのですが、それにしても国がやるどんな施策よりはるかに効果的に、検診に対する一般の方の意識・行動の変革を促した事件ではありました。

 

今年は、北斗さんの他にも、先述の女優の川島なお美さんや、胃がんで逝去された黒木奈々アナウンサーなど、働き盛りの年代の女性の患者さんが報道で大きく取り上げられる機会が多く、そうしたことが世の中全体のがんへの関心を高めた年でした。

 

がんという病は誰しもがなり得ること、そしてその病と共存している患者さんが必要とするサポートはどのようなものであるのかを、多くの方が認識・考慮するきっかけになったのだとしたら、ポジティブに捉えて良い「異変」だったのだと思います。