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本物の名医のあり方がわかる本:「医者と患者のコミュニケーション論」

「名医」の条件って何でしょう。

 

私自身は「腕(手術手技や的確な投薬などの医療技術)の良さ」×「コミュニケーション・スキル」のかけ算で決まると考えています。

 

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イシュランのサイトの中で、専門医資格の情報は前者の「腕の良さ」の指標になります。後者の「コミュニケーション・スキル」については、客観的な指標はまったく存在しないため、患者さんの投票によるコミュニケーション・タイプや体験談(口コミ)などの情報を掲載することでカバーしています。

 

では、医師はどうやってコミュニケーション・スキルを磨くのか、という点で、非常に示唆に富んだ書籍が出てきました。

 

 ■「医者と患者のコミュニケーション論」(里見清一)

 

「里見先生」という名前を見て、何かピンと来ませんか?

そう、あのドラマ「白い巨塔」で財前教授と並ぶもう一人の主役が里見先生でした。

 

ペンネーム「里見清一」、本名は「國頭英夫」先生。実は、「白い巨塔」の医学監修を担われた先生で、肺がん領域では著名な先生です。

 

その里見先生が、「研修医向けの講義」形式で書き下ろしたのが本著です。

 

私が思わず膝を打ったのは、以下のくだり。

 

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・・・当たり前のように、「あなたは手術不能の肺癌で、余命は1年程度と推定されます」という宣告がなされる。私なぞがそれに眉を顰めると、君らは意外な顔をしてこう言うのだろう。「だって先生、以前から癌の告知をやってたんでしょ?患者に事実を知らせるためなんでしょ?僕も本当のことを言っただけです。何が悪いんですか?」

 そういう君達にはこの言葉を紹介しよう。「誹謗中傷よりも酷いことが一つある。それは真実だ」

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同じ「真実(本当のこと)」を伝えるにしても、「誰が」「どう」伝えるかで患者さんの受け取り方は180度変わってくることを、見事に書き著しています。

 

他にも、たとえ科学的には意味がなくても「触診」をすることで患者さんと医師との距離はぐっと縮まるという話や、たとえこれ以上の治療の手だてがなくなったとしても、”You are still my patient and I am still your doctor”ということを患者に伝えなければならないという話など、「べらんめえ調」の中に「いい話」がここかしこにちりばめられています。

 

特に、今まで主治医とのやり取りで嫌な思いをしたり悩まれたりしてきた患者さんやご家族にお薦め致します。