大腸がんの予防としてアスピリンの長期服薬が米国で推奨
これまた古いお薬の話です。
鎮痛・解熱剤として一般に知られているアスピリンですが、血液を固まりにくくする働きもあるため、医療用医薬品としては、血栓や塞栓の治療にも広く用いられます。
そのアスピリンを、米国疾病予防タスクフォースが、米国の主要な医学団体として初めてがんの予防薬としてガイドライン上で推奨しました。
■”In a First, Aspirin Is Recommended to Fight a Form of Cancer”「アスピリンが初めてがんに対抗する薬として推奨」(The New York Times)
同タスクフォースが過去のエビデンスを解析した結果、低用量アスピリンを長期服用することが、心臓発作の発症リスクを22%下げるだけでなく、大腸がんによる死亡リスクも33%下げることがわかりました。
ちなみに、日本でもアスピリンの大腸がん発症予防効果についての研究がされています。
本研究では、大腸がんへ進行する可能性の高い大腸ポリープを切除した患者に低用量アスピリンを2年間投与、311名による無作為化比較試験で再発リスクを検証したところ、40%程度抑制する結果が得られました。
とはいえ、現時点では日本ではアスピリンによる大腸がんの予防投与が推奨されているわけではありませんし、保険適応もされていません。
また、米国の専門家たちも、本件については実はまだ意見が分かれているようです。
懸念の一つは、アスピリンの長期服用は、もちろんのことながらリスクフリーというわけではなく、胃出血のリスクは確実に上がり、非常にまれではありますが脳出血のリスクも上がることです。
もう一つは、アスピリンを服用することで安心してしまって、大腸内視鏡検査を受けない人が増えてしまうと、早期発見の機会を失って死亡リスクが上がってしまうというものです。
私は母方の祖父母ともに大腸がんに罹患しており、家系的にはリスクが高いのですが、それでも胃がすぐに荒れるアスピリンを毎日服用するのはちょっと躊躇いますね…