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アンジェリーナ・ジョリーとBRCA遺伝子変異

あのアンジェリーナ・ジョリーが、一昨年の乳房に続き、今年は卵巣と卵管を「予防的切除」したというニュースがかけめぐりました。

 

  ■「アンジェリーナ・ジョリーさん、卵巣も摘出 がん予防で」(朝日新聞デジタル、元ネタニューヨーク・タイムズ

   http://www.asahi.com/articles/ASH3S5QVGH3SUHBI02C.html

 

アンジェリーナ・ジョリーさんはBRCA遺伝子に変異があることが既にわかっています。

 

BRCA遺伝子変異が陽性の場合、乳がんのみならず卵巣がんも罹患リスクが高いわけですが、それにしても確定診断のレベルではなく兆候が見られた時点で予防的切除を選択したというのは、勇気ある決断だと思います。

 

彼女が予防的切除を選択したのは、一旦BRCA遺伝子変異陽性のがんが発症して進行してしまうと、有効な治療薬は現段階では限定的であることの裏返しでもあります。

 

そんな中、BRCA遺伝子変異陽性のタイプのがん患者さん向けの薬が、現在治験段階に入っています。

  ■”Olaparib Monotherapy in Patients With Advanced Cancer and a Germline BRCA1/2 Mutation”「BRCA遺伝子変異陽性の進行がん患者に対するオラパリブ単剤療法」(Journal of Clinical Oncology)

   

乳がん卵巣がんのみならず、すい臓がん、前立腺がんといった様々な進行がん患者298名を対象に、オラパリブというBRCA遺伝子変異をターゲットとした抗がん剤を投与したPhase2試験です。

 

対象患者の内訳・詳細は↓

乳がん(62例):化学療法を3レジメン以上投与経験

卵巣がん(193例):プラチナ製剤抵抗性(プラチナ製剤を投与して効果が認められなかった)

・すい臓がん(23例):ゲムシタビン投与経験

・前立腺がん(8例):ホルモン療法+化学療法経験

 

乳がん卵巣がんは知っていましたが、すい臓がんや前立腺がんにも「BRCA遺伝子変異陽性」タイプがあるのですね。

 

功率(がんの縮小が認められた率)は下記のようになりました。

乳がん:12.9%

卵巣がん:31.1%

・すい臓がん:21.7%

・前立腺がん:50.0%

 

副作用は、頻出のものが、「倦怠感」「吐き気」「嘔吐」。Grade3以上の重篤なものに限ると、「貧血」が一番多かったようです。

 

この結果をもって有用性があると判断され、更に次の大規模治験(Phase3)に入ることが予想されます。有効な治療法が生まれる日が近いことを期待しましょう。

 

 

※筆者はオラパリブに関して特段のCOI(利益相反)はありませんが、再発乳がんの領域では複数の製薬会社との間でCOIを有します