ランニングの功罪〜走るべきか走らざるべきか?〜

ランニング・ブームが始まったのは、2006年頃だったでしょうか。

 

当時、私が勤務していた神保町のオフィスには、「ジョグソン」という名前の有志のランニングクラブがあって、毎週水曜日の18時に近くの銭湯に集合して、皆で皇居の周りを走ったものです。

 

ほどなく「銭湯ランナー」という言葉が広まり、東京マラソンが開催されるようになり、私の周りにもランナーたちがどんどんと増えていきました。

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息の長いブームとなっているランニング、健康増進のためにされている方も多いと思いますが、ちょっと気になる記事がありました。(昨年の記事ですけど)

 

  ■「40歳過ぎのランニングは『元気の浪費』」(日経ビジネス)
  
 

岡本裕という医師とのインタビュー記事なのですが、日経ビジネスが取り上げるにしては、この先生どうなの?という表現が目立ちます。

 

・「自然界で自ら好き好んで走る動物は人間以外いないんです。それは、走るということが有害だからです。」

 

・「走る人は寿命が短いというデータも実際あります」

 

オピニオンのみで、元データも示さないというのは、ちょっと怪しいですね。

 

心配になられた方は、↓の記事を読んでください。論拠となる文献もきちんと示されている良記事です。結論としては、「走れば走るほど健康になる訳ではないが、走らないよりはマシ」です。

 

  ■「ランニングは体に良い/悪い論争の結論、やっぱり走って損はない?」(Business Journal)
  

 

 

そして、この岡本先生の取組まれている「e-クリニック」なるサイトを覗いてみると、さらに怪し気な記述が…

http://e-clinic21.or.jp/modules/contents02/index.php?content_id=15

 

「胃がんは全身のストレス、抵抗力の低下、免疫能力の低下が基礎にあって、たまたま胃の細胞組織に他の臓器よりも早く異常が出てきただけのことなのです。したがって、胃がんは胃の病気ではなくて、正確には全身の病気ということになります。すなわち、全身の栄養障害、抵抗力低下、あるいは免疫能力低下病と言った方がいいのかもしれません。」

 

え???

 

そんな学説は初めて目にしました。でも、もし本当にそうなら栄養障害の程度とか免疫能の低下とかがデータとして既にあってしかるべきですが、全然提示されていません。

 

「手術でがんを取りきったあとに、再発予防のためと称して放射線治療や抗がん剤治療を施されるケースも往々にしてあるようですが、安易に行うことはよくよく考えてみればとても危険なことなのです。

なぜなら、生活習慣、特に食習慣をしっかり改善していなければ、がんが発生しやすい体内環境はそのままなのですからそんな身体にストレスの激しい発がん性の高い放射線抗がん剤を行いますと、抵抗力を弱めて、かえって再発の危険性を高めることになりますし、新たながんを誘起することにもなりかねないのです。」

 

んんんん?

 

胃がんの術後の化学放射線療法は、↓のようにエビデンスレベルの非常に高いデータとして、施行した方がしないより全生存期間は1.32倍、無再発生存期間は1.51倍というものがあるわけですが、それを否定するようなデータがあるんですかね?

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22585691

 

毎度のことですが、こうした「素人受け」しそうな言説を振りまく医師の主張は、何に基づいているのかよく見てみないと、ですね。