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「ホンモノの免疫療法」の登場:PD-1阻害剤

がんの世界で「免疫療法」というと、今までは残念ながら”怪しげなクリニックが謳う治療法”というイメージが付いて回っていました。

 

体内に備わる免疫の力を活性化して、がん細胞を叩くという考え方は根本思想は良さそうなのですが、残念ながら巷で出回っている「免疫療法」はしっかりしたエビデンスに基づいたものではありません。

 

ところが、ついに治験でその有効性と安全性が確認された「ホンモノの免疫療法」剤が今夏に日本で、それも世界に先駆けて出てきました。「PD-1阻害剤」と呼ばれるクラスの薬剤がそれです。

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  ■「ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体『オプジーボ®点滴静注20mg、100mg』

根治切除不能な悪性黒色腫に対する製造販売承認取得のお知らせ」(小野薬品HP) 

    

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PD-1 は、リンパ球の表面にある受容体の一種で、生体において活性化したリンパ球を抑制するシステム(負のシグナル)に関与しています。がん細胞は、このシステムを利用して免疫反応から逃れているという研究成績が報告されています。オプジーボは、リンパ球を抑制するPD-1 の働き(PD-1 と結合するPD-L1 およびPD-L2 との相互作用)を抑制することで、がん細胞を異物と認識してこれを排除する免疫反応を亢進することにより有効性が期待されている薬剤です。

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悪性黒色腫(ホクロのがんです)の手術不能例に対しては、今までダガルバジン等による化学療法くらいしか手が無く、非常に難しいがんだったのですが、このPD-1阻害剤の登場で、治療継続のオプションができたことは素晴らしいニュースです。

 

このPD-1阻害剤、有望であるが故なのでしょうが、米国では一番に承認申請したメルク社に対し、オプジーボを共同開発したブリストルと小野薬品が特許侵害だとして提訴しています。

 

  ■「ブリストルと小野薬品がメルクを提訴、『PD-1阻害剤の特許侵害』」(THE WALL STREET JOURNAL) 

  

ところで、有望とはいえ、PD-1阻害剤もちょっと問題含みではあります。

 

一つは、Phase2試験での奏功率は22.9%(完全奏功は2.9%)と、治療効果としてそこまで”劇的”なものではないこと。そしてもう一つ、その割には「超高額」なことが、どうしても引っかかります。

 

私の体重(約60kg)なら、1回あたり90万円程度で3週間毎に投与。ということは、年間1500万円は下りません。もちろん高額療養費精度の範疇ではありますが、保険財政を考えると何とも高額です。

 

今後、このクラスの薬剤の価格がどうなっていくか、注視していきたいと思います。

※筆者は、PD-1阻害剤メーカーと過去1年間で何ら経済的関係を有していません