子宮頸がん予防ワクチンを男子にも!?

子宮頸がん予防ワクチンについては、日本では2010年に普及が開始したものの、2013年に副反応(接種後の原因不明の身体の痛み)の問題があがり、多くの自治体が積極的な接種推奨を取り止めることになりました。

 

一方で、子宮頸がんの罹患率を見てみると、米国では↓のように1999年から2010年にかけて、全人種平均で人口10万人対比で10人→8人と漸減していますが、同じ期間の日本の数字を取ってみると、年齢調整後で人口10万人対比で9人→14人と増えています。(出所:がん対策情報センター)

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 <出所:CDC>

 

ワクチンの予防が罹患率の現象にどの程度寄与するのかは、今後の長期の観察を経ないと正確な答えは出ませんし、安全性に関しても更なる検証が必要ではありましょうが、定期検診の検診率向上も含めた形で予防対策を推進していかなければ状況が改善されないことも事実。

 

その意味で、ワクチンの役割を過小評価してはいけないと考えています。

 

さてこの子宮頸がん予防ワクチン、名前からして「女子」向けと普通は考えるでしょうが、実は子宮頸がんと同じくHPV(ヒトパピローマウィルス)が原因となり得る口腔咽頭がんや肛門がんの予防にも効果を見込めるということで、男子への接種についても議論されています。

 

  ■”HPV virus doesn’t discriminate between men and women”

       <「HPV感染リスクは男女を問わない」 (THE IRISH TIMES、元ネタBMJ) >

    

一専門家の「オピニオン」ではありますが、男子への接種が男子自身のHPV関連疾患の感染リスクを下げるだけでなく、女子に対する予防効果も期待できるので、男子も若年齢のうちに接種すべきという意見です。

 

男子への接種については、米国疾病管理予防センター(CDC)でも、明確に推奨しています。

 

  ■”HPV Vaccine is Recommended for Boys” 

  <「HPVウィルスワクチン接種は、男子に推奨される」(CDC)>

    

現段階ではまだオピニオンレベルであり、レベルの高いエビデンスは無いようですが、それを待っていると10年先になってしまいますし、その間にも患者が増え続けかねません。

 

男子への接種の臨床データが今後充実し、希望すれば男子も接種可能という流れになっていくことを期待したいと思います。

 

*筆者は、HPVワクチン関連で利益相反はありません