郵便局で緑内障の疾患啓発とはこれいかに
先日、近所の郵便局で封入作業をしていたら、背後で「XXさん、緑内障って知っていますか?」と大きな声。気になって振り向いてみると、なんと郵便局員、いや正確にはゆうちょ銀行の社員が、窓口で緑内障のポスターを取り出して、高齢の男性のお客さんに緑内障の説明をし始めていたところでした。
これはちょっとビックリです。
世の中には、潜在的には患者さんが大勢いるけれど、病気だと気づかなかったり通院が面倒くさかったりなどの理由で、実際に受診する患者さんは非常に少ない疾患がいくつかあります。
例えば、
・爪水虫
・むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
など。
こうした疾患では、治療薬(医療用医薬品)を持つ製薬会社が直接的に潜在患者さん(=一般人)にメッセージを流して疾患を啓発し、受診を促すことがあり、その手法を「DTC(Direct to Consumer)」と言います。具体的には、TV-CMや新聞広告、ウェブサイト、小冊子・ポスターなどが使われます。
DTCそのものは、それまで病気だと気づかずに症状を悪化させたり、治りもしない薬局の薬で治せなかったりという人たちが、きちんと治療する機会をつくるという意味で、意義のあることです。
が、郵便局員を介してという話となると、やり方としてはちょっと危ういですね。
医療に関しては素人の郵便局員さんが、「最近、この病気になる人多いみたいなんですよ。XXさん、眼の方どうですか?」などと「業務」として問いかけている訳ですから。
もちろん、研修の中で「特定の製品名は出さない」とか「特定の医療施設の紹介は一切しない」など薬事法に引っかかりかねない点に関しては徹底されるのでしょうが、それにしても局員と患者さんとの間でどのようなやりとりが行なわれるか、コントロールは実質利きません。
やるのであれば、せめて街中にある薬局の薬剤師さんなど、医療従事者に限定すべきでしょう。
逆に、金融商品の説明であったりリスクのある投資の必要性だったりを、薬局で薬剤師がパンフレット持ち出して行なっているようなものだと考えたら、おかしいと思いますよね...