飲んでも効きません「ぐるぐるぐるぐるグルコサミン」
「ぐるぐるぐるぐるグルコサミン」という妙に記憶に残るTV-CMがあるくらい、グルコサミンは「膝の痛みに良い」というイメージで知られている人気サプリの一つです。
そんなグルコサミン、本当に効くのでしょうか?
試しにGoogleで「グルコサミン 効果 データ」と検索してみると、こんな記事が上位に上がってきます。
「ご存知ですか?グルコサミン 鳥取大学農学部南三郎教授に聞く、グルコサミンの働き」(President Online)
記事を見ていると、「グルコサミンの驚異的な効能が、数々のこれまた驚異的な実験データや映像によって紹介された」という文脈で、「わずか2ヶ月で走れるようになったラブラドールレトリーバー」とか「再生されないはずの軟骨がわずか3週間で再生することが確認されたウサギ」などの話が紹介されています。
人間ではない動物の「一例報告」で「驚異的な効能」を連想させていくとは、アサヒグループホールディングス「食の基盤研究所」さんもずいぶんなやり方ですが、いずれにせよこういった宣伝を信じてか、私の周りにも「飲んでいる」という人が何人かいます。
ところが残念ながら、「グルコサミンを飲んでも膝には効きませんよ」ということを示す、レベルの高いランダム化比較試験のデータが出てきました。
米国のペンシルベニア州で行なわれたこの研究、膝関節痛を持つ201名の人たちを、半年間グルコサミンを飲み続ける群とプラセボ群に分けて、効能を膝関節の損傷度合い等で比較しました。
結果は両群とも全く変わらないと言えるもの(WORMSというスコアでオッズ比が0.938)で、これでは効果あるとはとても言えません。
「膝痛を治すことはできなくても、予防効果はあるのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、残念ながら予防効果も期待できないということを示しているデータもあります。
「変形性膝関節症へのグルコサミン内服、初のRCTでは予防効果得られず」(日経メディカル)
サプリに関しては「食品」扱いであるが故に、効果を暗示するような内容の広告宣伝がバンバンされてしまうのが現実です。これに対し、きちんと臨床上の効果を検証したレベルの高い研究というのは乏しいのが実情。そういった意味でも、今回の研究結果は意義深いものと言えましょう。