「予防的卵巣切除」でがんの罹患リスクが激減

昨年話題になったアンジェリーナ・ジョリーの予防的乳房切除ですが、今回は予防的卵巣切除の話です。非常に重要な研究結果がカナダから出てきました。

 

“Early Ovary Removal Reduces Long-Term Cancer Risk: Study”(「予防的卵巣切除が長期的ながん罹患リスクを軽減」<Wall Street Journal、元ネタJournal of Clinical Oncology>)

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BRCA1/2遺伝子変異陽性のカナダ人女性5783名を19年間にわたって追跡調査した結果、予防的な卵巣切除により卵巣がんおよび関連のがんの罹患リスクを80%、70歳までの全死亡リスクを77%軽減するというものでした。

 

論文著者のトロント大学Narod教授は、「がんのリスクを下げたいのであれば、切除の最適なタイミングは35歳あたりだろう」と言っています。

 

米国のガイドラインでは、BRCA遺伝子変異陽性の女性は40歳までに卵巣を予防的に切除することが望ましいとされています。この時点での卵巣がん発症リスクは4%ですが、50歳になると14%まで上がるというデータがあるからです。

 

日本の婦人科腫瘍学会の「卵巣がん治療ガイドライン2010年版」を見ると、BRCA遺伝子変異陽性での予防的切除についての記載は見られません。

次回の改訂時には記載されてくるのではないでしょうか。

 

ちなみに、同じBRCA遺伝子変異が引き起こすがんでも、乳がんより卵巣がんの方が予防的切除の意義はより大きいと思われます。乳がんであれば早期発見は比較的容易にできるけれど、卵巣がんはなかなか難しいですから。

 

アンジェリーナ・ジョリーが卵巣も切除」というニュースが流れるのも、そう先の話ではなさそうです。