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うがい薬を保険適用から外すとむしろ薬剤費は増える

うがい薬:保険適用外に…国費61億円削減効果 - 毎日新聞

 

という2週間ほど前のニュース。

 

マスコミ各社が一斉に報じたこのニュースを見て、私の頭の中は、「???」とクエスチョン・マークが飛び交いました。

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というのも、保険適用外になるのが、「同時にほかの薬を処方しなければ」という条件付きになっているからです。

 

私は、軽症の疾患や症状改善に使われる薬について、保険適用から外していくことについては大いに賛成です。というのも、保険財政がどんどん厳しくなっていく中で何を保険制度で護るべきかを考えた時、重篤な疾患の方が優先度は高いと考えるからです。

 

でも、記事の通り、「同時にほかの薬を処方しなければ」という条件が付くのであれば、費用削減効果は非常に限定的と思われます。

 

「うがい薬を保険適用で処方してもらうことのみを目的」とする受診がどれくらいあるでしょうか。

 

イソジンの価格は、薬局で一般用医薬品OTC)として買うと、250mlで1290円です。

 

同じ濃度7%のイソジンの医療用医薬品としての薬価は、3.3円/ml。250mlなら825円。1割負担で80円、3割負担で250円です。ということは、薬の値段だけ比べると、1040円〜1210円ほどお得になります。

 

とはいえ、それだけが目的でいきなり医療機関を受診しようと思ったら、「初診料」がかかります。初診料は2700円。ということは、1割負担で270円。3割負担なら810円です。

 

医療機関に受診する手間を考えたら、3割負担の人は、この時点でほとんどメリットありません。

また、1割負担の人は高齢者ですから、行きつけの医療機関で何らかの処方薬が他に出ていることが大半でしょう。

 

売れ筋の医療用医薬品のうがい薬で売上高がわかるのはアズノール。これで26億円くらいです(日本新薬社HPより)。ということは医療用医薬品のうがい薬市場全体でおそらく100億円に満たない。

 

その中の「レアケース」を除いたとしても、60億円削減できるとは思えません。むしろ、保険適用にするために不必要にほかの薬の処方を増やすインセンティブが働いて、その分薬剤費が増えてしまうことでしょう。

 

やるのなら、うがい薬は全面的に保険適用から外すべきだと考えます。

 

が、厚労省はそれはまずやらない。というのは、もしそうすると混合診療になってしまうので「ほかの薬の処方」までも保険適用外になってしまうからです。

 

ということで、今回の政策はあくまでも厚労省の「ポーズ」で、実効価値はありません。医師会が声高に反発しないのもその辺よくわかっているからなのでしょうね。