メディカル・インサイトの2012年

新年明けましておめでとうございます。


今年は初めて松山で新年を迎えましたが、102歳の義理の祖母と2歳の娘が初めて会話をするという光景を目の当たりにし、時代を超えて引き継がれる目に見えない力を感じました。「次代」に引き継ぐ世界をより素晴らしいものにするために、働き盛りの今、やれることがたくさんあることに喜びを感じています。


一般的な社会人人生が22歳から65歳までとしたら、自分にとってはここから3年間がそのど真ん中。ここでやらずにいつやるの、という大事な3年です。


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さて、本日は新年初のエントリーということで、メディカル・インサイトの2011年の成果を振り返ると共に、2012年の展望を記していく。




<振り返り①:ネクスト・ステージの礎>


実質1年目だった2010年は、「まず家族を養っていけるレベル」の売上にすることが至上命題で、その目標は達成した。2011年は、起業した当初に、「起業したからにはこれくらいは売上を立てられるようになりたい」と考えていた一次レベルに到達するのが目標だったが、おかげさまでこれも無事達成することができた。


相変わらず、色んな縁でお仕事を頂く事ができているのだが、昨年までとは違い、メディカル・インサイトとして独立してからの活動やご縁が元で、新しいお仕事を頂くという良い流れができてきている。


売上が軌道に乗れば、「次への投資」ができるようになる。ネクスト・ステージの礎が築けたという意味で、大いなる前進だった。




<振り返り②:がん患者調査のインパクト>


9月のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20110919/1316444654)でも書いた愛媛のがん患者調査の結果が、昨秋はがん治療学会の学術総会の複数のセッション、そしてがん対策推進協議会、と立て続けに全国レベルで紹介された。一昨年に播いた小さな種が漸くインパクトを残し始めたという事で、素直に喜びたい。


ところで、TOBYOの三宅さんが「なぜ、レガシー調査の調査結果は退屈なのか?」(http://www.tobyo.jp/tobyoblog/2011/2109.html)という示唆に富んだ論考を記している。このエントリーにはかなり頷けるのだが、それでもレガシー調査は一種の「必要悪」として世の中に残り続けるだろう。


「ソーシャル・リスニング」から出てくるのは「”Insight(洞察)”のある仮説」である一方、レガシーな調査から出てくるのは「定量化されたエビデンス」。自分が動くのには「Insightのある仮説」だけでも良いのだが、他人のオカネや組織を動かすには「エビデンス」が必要になる。「政策」レベルで動かそうと思えば、なおさらである。


特に医療の世界では、患者の目線が入った「エビデンス」が医療者のそれと比べ極端に乏しいため、まだまだ創出していく必要がある。




<振り返り③:新規事業の挫折と次への光>


「自分こそが”ゆでガエル”にならずに、鍋から飛び出す行動にうつらなければならない。2011年はまさにそこが焦点だ。まだ全然具体的な案になっていないが、ともかく日本でのみ通じる視点は捨てて、Globalに拡げ得るビジネスを創り始める。」


上記は、1年前のブログエントリー「2010年の大晦日」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20101231/1293804622)に記したものだ。


2011年は春先に1つ、「これ」と思える事業アイディア(名刺情報のクラウド・サービス)を思いつき、夏にかけていざシステム開発に進むかというところまで練り込んだが、そこで断念せざるをえなかった。LinkedInやGoogle+が狙っているところがかなり近そうだと感じたのもあるが、一番大きな理由はシステム開発に想定以上の金額が必要になりそうだったことにある。


自らがエンジニアでないがWebサービスの事業アイディアだけを持っている場合、開発に関しては、
・雇う
・アウトソースする
の2通りが考えられるのだが、どちらも「帯に短し、襷に長し」なのだ。


「雇う」場合のメリットは、要件定義が変化しても柔軟に対応できることと、コミュニケーションコストが低いことにある。一方で、相応の固定費と内部管理の手間が発生するし、何よりも適切な人材を見つけ出すのが難しい。


逆に「アウトソース」の場合は、質の担保はある程度見込めるが、一番辛いのが要件定義の変化への柔軟性が乏しいことだ。どうしても、「利益相反」が起きやすいスキームなのだ。また、営業アカウントの方とは当初はよい感じでコミュニケートできていても、切所で後ろにいるエンジニアとの方との間との距離があるのがどうにも気持ちが悪い。



実は、昨秋にまた新たな事業アイディア(非常にGeneralに使えるWebツール)を考えついたのだが、これを実現するに当たり、上記のジレンマを解消し得るスキームを提供してもらえる開発パートナーと年末に巡り会えた。今では、これが2011年での最良の出来事だったのではないかと感じている。


どうも、年末になると次への動きを大きく左右するイベントがあるのが、メディカル・インサイトの習性(!?)のようだ。




<展望①:Webツールの開発とローンチ>


ということで、上記のパートナーと組んで、新しいWebツールを開発・ローンチしていくのが、前半の1つのヤマになる。すでに一番コアな機能のプロトタイプはできているのだが、これをブラッシュアップしていき、3月辺りにはカタチにする。


内容についてはまだ表にできないが、Web上でコンテンツを閲覧する人であれば、誰でも使い得るものとなる。「見ての(使っての)お楽しみ」ということで、期待して頂きたい。


ビジネスモデルもまだ流動的で、どのような発展をしていくか全くの未知数だが、本ブログの1つのテーマである「けもの道を行く」が如く、楽しんで進めていきたい。




<展望②:医師向け専門Webサイトの本格オープン>


こちらは、今までやってきた事が1つの成果として形になって表れてくるという話だが、2年越しでサポートしてきた医師向けの領域専門Webサイトが今春いよいよ本格的にオープンする。


現在、オープンに向けて最後の仕込みをしつつあるところで、こちらもローンチの時点でシェアしていきたい。




<展望②:更に次への仕掛け>


他にもコンサルティングや患者調査で仕掛中のものがあり、おそらく今年もその他新たな案件でお手伝いさせて頂くものが出てくるだろう。これはこれでしっかり付加価値を出していった上で、ちょっと欲張りのようだが、更に次のWebサービスの事業アイディアを練っていきたい。


展望①で書いたWebツールはあまりにも「General」なものなので、コミットはしてもメディカル・インサイトの事業とは今後切り離して考えていく必要がある。その先を考えると、やはりメディカル・インサイトならではの新規サービスを創り出したい。


どうも自分は、「次々に新しいアイディアやサービスを創り出し続けること」に仕事の最大の喜びを見出すタイプのようだということが、最近わかってきた。


「なんでやるの?」「だって面白いから。」


自らの内なる声に導かれつつ、周囲の金言にも耳を傾け、2012年を走り抜こう。