ゴキブリと放射能で考える夫婦関係
今朝、TwitterのTLを眺めていたら、敬愛する茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの↓ツイートが目に入った。
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「だけど、なんで、男の人ってゴキブリへいきなんでしょう。」「そうだな。ゴキブリが原因で離婚、はやるかも。ゴキブリ離婚」「成田離婚じゃなくてですか。」「そう。女の子パニック、男の子平気、それでけんかしてゴキブリ離婚」
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なにか、既視感があるな~と思って、はたと気づいた。なるほど、「ゴキブリ」と「放射能」は似ているな、と。
・どちらも女性により怖がる人が多い
・身体的に受ける実害より精神的な害が大きい
・風評被害も簡単に起こせる
・見えていないだけで、世の中のほぼどこにでも存在する
さてさて、私の周囲にも妻を含め、放射能を怖がる女性が結構いる。昨年来の関東エリアで放射能を怖がる奥さんがいる家庭にとっての話は、ゴキブリに喩えればこんな話だろう。
「近所の飲食店でゴキブリが大量発生した事件があった。うちでも今日ゴキブリが見つかった。妻が大パニックになり、『もうこんなところ住めません!!!』と言っている」
放射能の問題を「科学の問題」としてしか捉えていない人は、ゴキブリを恐れる奥さんに対し、「ゴキブリくらいで何をガタガタ騒いでいるんだ」「ゴキブリが出たからと言って、科学的に病気の確率が上がるわけではない」「どこへ行ったってゴキブリはいる。香港の方が多いくらいだ」とのたまう夫に似ている。
僕が池田信夫さんや堀義人さんといった「原発/放射能右派」ともいうべき方々の言説、特に放射能を怖がる人たちを「放射脳」と揶揄する精神性に覚える違和感は実はこういうところから来ている。
だが事実(ファクト)と論理(ロジック)だけで詰めていっても、問題は解決するどころかますます悪化する、というのは夫婦の対話を繰り返し重ねて関係を深化させてきた夫族はおそらくよくわかっていることだと思う。怖いものは怖いのだ。
では、「こんなゴキブリ屋敷みたいなところに住むのはもうイヤ!!」と愛妻から言われたらどうするか。
「何をバカなこと言っているんだ」「そんなオカネのかかることできるわけないだろう。」
ではなく、
「そうかぁ、そんなに怖いんだ。う~ん、わかったよ、じゃあ引っ越し考えてみるか。」
で良いのだ。
実際にいざ引っ越すことを真剣に考え始めると、大概の奥さんは収入やら子供の学校のことやら引っ越しの面倒くささやらが気になり始め、「まあそうはいっても、引っ越した先でもゴキブリ出るかもしれないし。次に出てきたらその時考えましょう」と自分で結論を出す。
ビジネススクール時代の友人が教えてくれた言葉で、今でも大事にしているものがある。
「Perception is truth. (認知されたことが真実である)」
まずは相手の心に寄り添って、こちらが主張したいことは「自分で気づいて」もらいましょう。自戒をこめて。
<追記>
世の中同じようなこと考えている人がひょっとしているのかしらと思って、「ゴキブリ 放射能」でググってみたら、↓のサイトを発見しました。この作者の方とはお友達になれそうな気がします(笑)