癌治療学会の医療コーディネーター養成構想

(前回エントリー「がん治療薬に1000万円払いますか?」の続編は一旦スキップします)


本日から名古屋で開催されている癌治療学会学術総会、例年にも増してプログラムが充実しており、非常に聴き応えのある内容になっている。


その中でも注目していた「がん医療コーディネーターの養成」という特別企画シンポジウムが期待に違わず実に面白かった。一昨年や昨年の総会時に患者アドボケートの人たちとのディスカッションから生まれてきたという、癌治療学会による医療コーディネーター養成の構想について、医療者と患者双方の立場から活発な意見が交わされた。


まずもって、医療コーディネーターの養成という大胆な構想を実現すべく学会が自ら動き出したということに、最大限の敬意と惜しみない拍手をおくりたい。今回の大会長の西山先生の”想い”も十分に伝わってきた。


またシンポジウムの中の議論も、パネリストの意見もさることながら、会場から次から次へと意見が出され、こうした学会で初めて真の意味での「パネルディスカッション」を見た思いだ。


現時点での癌治療学会としての試案は、「Who:誰でも資格は取り得る」、「What:がん医療の最低限必要な知識を有しつつ、医療者と患者の間に立って様々なコーディネーションを行なう」、「Where:院外に設置する(地域の医師会という形態が1つのアイディア)」、「How:費用をどうするか、研修を受ける環境はどうするか、等に関してはまだ生煮え」、というものだ。


これに対し、パネラー・会場から様々な意見・疑問点が出てきたが、どうも総論Yesだが各論に入ると患者サイドと医療サイドでそれぞれ気になるポイントが異なっていて議論が発散気味となり、今後何をどのように詰めていくのかというところまでは行きつかずに終わった感じだった。


ということで、今日出てきた論点をまとめ、これから何をしたら良いのかをきちんと可視化する事が大事と思い、若干の私案も交えて↓のスライドを作成した。



ポイントは、嘉山先生もコメントされていたが、まずは患者ニーズをきちんと把握するところからスタートすることだ。それも具体的な言葉で。


今日の議論は参加者からできうる限りの論点を抽出するという意味で有意義だったのだが、多くが要件定義や想定されるボトルネック/懸念点について思い思いの意見を述べたという感じだったので、これを言いっぱなしで終わらせるのでなく、どう採り入れてまとめていくかを示す事がこれからの議論の進展に必ずや役立つと信じる。


是非、これからこの議論に関わる有志の方々で共有して頂ければ幸いだ。