愛媛のがん患者調査

9月に入っても暑い日々が続いたが、漸くに終わりを告げようとしている事を感じる夜だ。このブログも2か月の夏休みだったが、今日から復帰したい。
(前回エントリーの佐々木俊尚さんの集中講義を聴いての考察の続編は、ご勘弁いただくという事でご了承ください。佐々木さんの論考に興味のある方は、「キュレーションの時代」を一読される事をオススメします。)


夏が過ぎたという事で、メディカル・インサイトも第三期目に突入した。おかげさまで事業は順調に拡大してきており、事業開始後にサポートしてきた事もいくつか形になって世の中に表れてきた。


今日はまずその1つ、愛媛県のがん患者調査を簡単にご紹介したい。この調査、実際は昨年の成果物なのだが、県のHPにアップされたタイミングをつかみ損ね、紹介が随分と遅れてしまった。


調査結果のスライド(PDF)は↓のように県のHPに載っているのでご参照いただきたい。
http://www.pref.ehime.jp/h20180/gan_iryou/iinkai/2211siryo4a1.pdf


また、本調査の持つ意義と、愛媛がんフォーラムで本調査に絡んで私が行なったプレゼンについては、2月15日のエントリー「患者調査をテコに意味のあるがん対策推進を〜愛媛がんフォーラム講演より〜」http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20110215/1297753006
に示しているので、併せてご覧いただきたい。


この調査で一番心に残ったのは、ちょっとしたコミュニケーションでの気配りが、大きな差を生みだしている、という事実だ。35ページ目の「療養生活の中で良かった・嬉しかったと感じた出来事」のスライドにあるように、回答者の半数以上が現場の医師・看護師・その他医療スタッフからの「声掛け」を挙げている。こういった結果を見ると、忙しい中でも血の通った医療を提供し続けている方々がまだまだ沢山いることが実感できる。


また、21ページ目にあるように、告知〜治療方針決定時に配慮を感じるか感じないかは、告知する側の話し方1つで大きく変わってくる。「難しい言葉を使わない」「間を取る」「”大丈夫”というような背中を押す言葉をかける」ことで患者は配慮を感じるし、逆に「淡々と」「一方的に」「間を取らずに」説明すると、配慮に欠けていると感じる。


コミュニケーション・スキルというものは一朝一夕に身に付くものでもないだろうし、座学だけでは当然限界はあろうが、少なくともこうしたデータやコメントを医療者や医療者を志す方にも広く見てもらい、より良いがん診療へのヒントになれば、携わったものとしても嬉しい限りだ。