MRがいる意味って何だろう

花粉症の季節である。今年の花粉の飛散量はかなり多いと報道されているが、確かにもう目がかゆくなってき始めたので、早速抗アレルギー剤を処方してもらっている。この領域の薬剤を持っている会社は、さぞかしニコニコしている事だろう。


製薬業界というのはある意味非常に恵まれた業界だ。上位企業から下位までずらーっと並べても、赤字の会社というものは無い。ふつーの業界では考えられない姿だ。


もちろん、製薬会社には次なる新しい薬剤を研究・開発し、世に送り出して医療を発展させていくという大事な使命があり、そのためにも利益の出る構造にしておくことは必要だ。しかし、内部にいた身としてコスト構造としてまだ甘い部分があることも否めない。


例えば、1人の医師にMRが1回製品の説明をするのにかかっているコストは1万円以上というのが、この世界。その説明だって、30秒で終わることもしばしばだ。同じく1回あたりの視聴コストが数百円レベルのe-detailingへの代替はまだ当分続いていくことは間違いない。


一般的な薬剤情報提供は別として、MRの存在が売上に繋がるケースは2つに絞られると思う。


1つは、似たようなプロファイルの製品で戦っているケース。抗菌剤や降圧剤の市場などがこれに近いだろう。効果も副作用も似たような薬剤であれば、医師にとってみたらまあより身近なMRの会社の製品を使おうという事になるのは人情だ。ただし、このケースは競合も似たような事を考えてMRを突っ込んでくるので、往々にして「レッドオーシャン」になってしまう。


もう1つは、医師にしっかり薬剤の使い方や副作用対策などを伝えることにより、患者さんのいわゆるアドヒヤランスが改善するケース。発売して3年以内の抗がん剤などはこのケースにあてはまるだろう。


これ以外は、実は薬剤そのものの力であったり、上記の花粉症のような外的要因で決まってしまうようなケースが沢山ある。


日本全国で6万人程度いると言われているMRにとって、これからはそれほど良い時代ではないかもしれない。