盛り上がりを見せた、「Health2.0 Tokyo Chapter 2」

6月に引き続き、第2回目のHealth2.0 Tokyo Chapterが今晩開催された。


最初の演者は、SMSの鈴木さん。Health2.0ワシントンD.C.大会に出席されたとのことで、数ある発表の中で面白そうな企業をピックアップして紹介された。


 ScanAvert  http://www.scanavert.com/
スマートフォンのカメラで食品や薬品のバーコードをスキャンすると、自分にとって有害な可能性のある成分が入っている場合はその場で警告を出してくれ、さらに代替案まで提示してくれるサービス。
ビジネスモデルは利用者への課金。


 Everday HEALTH  http://www.everydayhealth.com/
一般消費者向けの総合健康情報サイト。新機能”Symptom Checker”が特徴的。気になる症状がある場合、画面上の質問に答えていくと可能性のある疾病が何か出てくる。システムの裏側に診断アルゴリズムが存在すると考えられる。
ビジネスモデルは広告。


 Vitality  http://www.vitality.net/
処方薬の服薬アドヒヤランスをサポート。ワイヤレス通信機能付きの薬の保管容器”GlowCap”をタダで配布。この容器、服薬時間になるとライトが点滅し、無視すると警報音が鳴り、さらに無視すると電話がかかってくるというような代物。
ビジネスモデルは保険者や製薬会社からの収入。


それぞれに面白そうだったが、聞いた瞬間にオカネの匂いがしたのはVitality。服薬アドヒヤランス向上は、製薬マーケティングでもまだまだ工夫の余地が必要なところで、某社と新事業アイディアを議論した時も、ここに注目した案を提示した事を思い出した。



そして2番目は、一緒に事業開発しているTOBYOの三宅さんが登場。


どんなプレゼンをされるかは事前に知らなかったので、楽しみにしていたのだが、ZENスタイルとも言えるプレゼンは期待以上に素晴らしいものだった。TOBYOのテーマ曲である、「TOBYOストラット」も格好良く響いていた。Congratulations三宅さん!


プレゼンの中で、医療消費者向け(B2C)であるTOBYOが更に進化し、プロフェッショナル向け(B2B)でDFCディスティラーが生み出されようとしている事が紹介されたが、
DFC(Direct from Consumer)の概念を生み、それに基くサービス設計を共に行なってきた身として、非常に光栄だった。


最後のパネルディスカッションの話題の中心は、やはりどのようにビジネスモデルを創り上げていくか、になった。どんな事業もそうだが、Health2.0は特にここが難しい。


患者さん向けに”使える”サービスを作っても、対価をとるのは非常にハードルが高い。Webの情報はタダ、という意識が患者さんには根強い。となると、UUを稼げるのであれば広告や物販を考える方向性だろうし、そうでないなら別のところからオカネを引っ張ってくる事を考えなければならない。


米国のように保険者が儲かっていてビジネスセンスがあればVitality社の例のように、有力なオカネの出し手になるが、日本ではそうはいかない。そうすると、”別のところ”といっても、製薬会社や医療機器メーカーという構図になりがちである。


しかし、今日、第一三共の方がフロアから発言されていたように、「不確かな”患者発の情報”の提供サービスが、しっかりした情報しか扱っていない製薬会社の文化と本当に合うかどうか」というような見方をされるところはまだまだ多い。


私もその後発言したが、ここがまさにHealth2.0企業が超えなければいけないカベなのだ。相手にとって、取るに足らないと思われがちな情報に如何に宝が潜んでいるかを、きちんと理解してもらわないと、明日の成長は無い。


TOBYOの事業開発で言うと、患者が書いたBlogで実際こんな事がわかりますよ、と、相手に”おっ”と思わせる実例が見せられるかどうかがカギになる。


いずれにせよ、日本版Health2.0ならではの成功事例を生みだしていく事こそが、このムーブメントが本格化するか否かの分かれ道になる。その意味で、TOBYOが先頭ランナーとしてきちんと走り続けられるようにして参加者の熱気を継続していくことが、自分の使命でもあることを再確認した一晩だった。