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がんにあってがんに非ず?〜前立腺がんとPSA検査値〜

「家病」というものがあるのならば、我が父系は「前立腺疾患」がそれにあたる。祖父は前立腺肥大とがんを患っていたし、その息子は父を含め4人兄弟全員が前立腺肥大の治療をしている。いずれ、前立腺がんに罹るリスクも考えておかなければならないだろう。


ところでその前立腺がんについて、「HealthNewsReview」で気になる記事が出ていた。


題して、「New data raising concerns over overdiagnosis & overtreatment of prostate cancer (新データが、前立腺がんの過剰診断と過剰治療への懸念を示唆)」

http://www.healthnewsreview.org/blog/2010/07/new-data-raising-concerns-over-overdiagnosis-overtreatment-of-prostate-cancer.html


因みにこの「HealthNewsReview」は、日々出てくる医療ニュースについて専門家のレビューを加えてその質をRatingした上でレビューを投稿するWebsiteだ。


全文を訳すのは大変なので要点だけ述べると、


「PSAのレベルが4.0 ng/mL以下の低リスク群の前立腺がんについて、米国では4.0-20.0ng/mLの高リスク群と同程度の治療介入が行なわれている。PSAの”異常値”のレベルを4.0から2.5 ng/mLに下げることにより、190万人が新たに前立腺がんの診断を下され、その内82.5%の患者が積極的な治療を受けることになるが、その患者たちで進行がんに移行するのはたったの2.4%。治療による有害事象のリスクを考えると、これら低リスク群の患者へのアグレッシブな治療の実施は、”過剰診断”・”過剰治療”を招くことになりかねない」


ということだ。


最近Twitterで話題に上がっている、TBSの乳がん検診キャラバンに対する医学的見地からの疑問と根は同じだが、どんな検診も治療もリスクは伴うわけで、全体で見てベネフィットが明らかに上回るというエビデンスが無い限りは、むやみに対象を拡げるべきではない、ということだ。


で、現在の日本の前立腺がんの検診・治療状況はと言うと、特にPSA検査の普及は欧米と比べてかなり遅れているようだ。

      • 以下引用---

前立腺がんの早期発見に有効であるとされているPSA検査(Prostate Specific Antigen)について、厚労省研究班は「集団検診で実施することの意義が認められないので実施は今後奨められない」という方針を示した。
一方、日本泌尿器科学会はこの方針に反対し「50歳以上の男性を対象にしたPSA検査による検診で前立腺がんが見つかっている」と主張し、泌尿器科学会独自の指針を作るという。
(医療教育情報センターHP)

      • 引用終わり---


ここまで見る限り、過剰診断・過剰治療のリスクはPSA検査が普及している米国だからこその話であり、日本ではまずはPSA検査そのものの普及から議論しなければならない段階、と言える。”後発の利”というものはあるわけで、どういった数値を基準値に置くべきかよく考えた上で、PSA検査の普及を進めて行くべし、というのが現時点での結論となりそうだ。