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がん治療の「主治医」は誰か?(2)

医療の変革

前稿では、「がん専門コンサルタント」の資格を創設し、がん治療の「顔(=主治医)」の役割を開業医に担ってもらう案を提唱した。


ではこの体制作りに何が必須条件となってくるだろうか。


まず当然だが、この「がん専門コンサルタント」の力量の担保である。この場合、「力量」とは緩和ケアも含んだがん治療全般に対する広い知識、適切な治療を提供する病院・医師の紹介力、そして患者とのコミュニケーション力、の三点を指す。


「がん治療全般に対する広い知識」となると、現在の開業医にそんな力が本当にあるの?という声もあるとは思うが、治療そのものを任されるわけではなく、一般的ながん医療の知識さえあれば良いので、そこまでハードルは高くないと考える。


ただ、最新の標準治療が何であるかといった情報を、もう少し効率的に把握できる仕組みは考えられても良い。何せ、日本のがん診療ガイドラインはフォーマットもばらばら、そしてオンラインで入手できる情報もかなり限りがあるので。


見逃してならないのは、彼らが「適切な治療を提供する病院・医師の”紹介力”」だ。現在の開業医からの病院紹介は、その医師の出身医局がどこかで左右される部分がかなり大きいと推察する。そうした旧い人的なつながりに頼って紹介先を選択するのではなく、より科学的な根拠に基くオプションの提示こそが、患者とのコミュニケーションを改善する上で、大切になる。


「科学的な根拠」とは、ひとまずは各病院での治療成績ということになるが、これは以前のエントリ−「ガラス張りにされた国立がんセンターの治療成績」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100611/1276245093
で取り上げたように、国立がんセンターくらいしか参考になりそうなデータは提供していない。


私はこのデータは病院が出さないのであれば、開業医側でどんどん蓄積・シェアしていけば良いと考える。即ち、自分たちの受け持ち患者についてのアウトカムを何らかの形で匿名化・共有化することでかなり意味のあるデータベースを築く、というイメージだ。


最後に、患者とのコミュニケーション力であるが、これは長期間にわたり、患者さんにとっての”顔”となるのであるから、当然高レベルのものが期待される。病院の医師と患者との間に立って、”通訳”的な役割を果たせるようになって初めて役目を果たすと言えよう。


日本の医療は、病院医師の疲弊が喧伝されて久しい。本当にそうであるとするならば、こうした形でもっともっと開業医に活躍の場を拡げてもらうというのが、双方にとって望ましい姿なのではなかろうか。