サッカーW杯日本代表〜オランダ戦から見えた光と課題〜

負けてなお残る充実感、というのはなかなか無いものだ。一昨日のサッカーW杯でのオランダ戦は、負け惜しみでも何でもなく、日本が超一流国とも90分間きちんと戦えるチームである事を確認できた意味で、感慨深いものがあった。もちろん、まだ「次がある」という状況がそうさせているわけではあるが。


今回のオランダ戦、次戦に向けての収穫は2点あったと感じている。



・収穫①:守りのスタミナ・マネジメント


初戦の後のブログエントリーでも勝因に挙げたが、今回も守りのスタミナ・マネジメントはきちんとできていたように思う。前半の守りの素晴らしさは予想以上だった。オランダがパスの出しどころを探しても見つけられない様子がありあり。おそらく、TV画面に映っていないところのボランチ・DF陣の動きが秀逸だったからに違いない。


終盤危ない場面が何度かあったが、これは前懸かりのリスクをとる戦いを選択したためであって、致し方ない。何やかんや言っても脚は動いていたし、いかにもやられそうな雰囲気にはついぞならなかった。



・収穫②:攻めの姿勢


強いチームに先に点を取られた後、相手がどんどん調子に乗って嵩にかかって攻められ、更に失点を重ねる、というのはよくあるパターンだ。しかし、点を取られてから日本も攻撃に転じ、それなりに見せ場を作った。


シュート数もオランダを上回ったのは嬉しい誤算だ。凄く迫力のある怒涛の攻めとまではいかなかったが、守りとのバランスを考えながらちゃんと戦ったという意味で、これは評価して良いと思う。


以前も書いたが、そもそもサッカーとは点がなかなか入らないスポーツ。打てばいつかは入るのだ。



次は決戦となる。


何より素晴らしいのは、死に物狂いで勝ちにくるW杯常連国と斬るか斬られるかの「超真剣勝負」ができること。こんなこと、今まではなかった。日本でW杯が開かれた時も、決勝リーグ進出を決めたのは、決勝進出の望みを絶たれたセネガルだったはず。ではその真剣勝負に際し、更なる改善点は何か。


おそらく3戦目も先発メンバーは何かの事情が無い限り、変えてこないというのが大方の予想だろう。もしあるとしても、駒野の代わりに今野くらいか。その点をふまえ、オランダ戦から見えた2つの課題に言及したい。



・課題①:ヘディングの競り合いの不利をどう防ぐか


本田のワントップは、カメルーン戦ではヘディングで競り勝ち機能したが、オランダ戦では体格差が響いたかかなり厳しそうだった。やはり体格差のあるデンマーク戦でも同じようなことが起きそうだ。守りのスタミナマネジメントを考える上でも、攻めのバリエーションを考える上でも、ここへの工夫が何か必要だ。


二つ方法が考えられる。一つはロングボールを減らし、ショートパス主体に戻すこと。もう一つはデンマークに高さ負けしないターゲット(矢野くらいかな?)を入れること。


僕なら前者を選ぶ。そもそも日本がやり慣れてきた戦い方だし、後者の戦い方で矢野では身体の強さから言って、やはりちょいと役不足。トゥーリオをFWに入れるのならまだ違うだろうが。。。


それに、中盤のスピードという意味では、カメルーンやオランダと比べればデンマークはまだ御せる相手のはず。さらに、デンマークが前懸かりで攻めてくるであろうことを考えると、向こうの最終ラインとボランチの間は結構スペースが生まれてくる可能性大。そのエリアで本田がパスを受けて周囲が一斉に動き出す時に、日本のチャンスが生まれると見て良い。



・課題②:攻めのための選手交代


良く指摘されているように、日本は「狙って引き分け」を取るメンタリティではやられてしまうだろう。となると、(狙い通り)同点(0−0)で後半に入っていった時、どのような選手交代のカードを切って攻めのメッセージを送るか、がポイントになる。


まず、中村俊輔は使わない事だ。残念ながらオランダ戦で機能しないことがはっきり見えた。前を向いて仕事をする機会が殆ど無かったし、今のスピード感・身体のキレでは中盤で簡単にボールを取られ、むしろリスク要因にすらなりそうだ。1点取られて、完全にシステムを変えて点を取りに行く場合はともかく、同点でリスクをコントロールしながら攻めに行くのには相応しくないカードと見る。


となると、消耗の大きそうな松井・大久保のところをどうするか?僕なら、1点を取りに行く姿勢を見せるために、後半早めに大久保の代わりに森本を起用する。大久保は良い動きをするがスタミナが持たないし、どうもゴールの匂いがしないのだ。日本のFWで匂いがするのが森本。これは個人的な期待も込めて是非出て欲しい。


松井のところはレフティーで一発のある玉田か。でも、松井はかなりへばってからも仕事ができそうな感じなので、こちらはぎりぎりまで引っ張って、最後の10分を切って同点or1点リードのようだったら、そこで相手のパワープレーに対抗するために高さのある矢野を投入、がベストシナリオだ。


あと、中盤の戦いが激しくなるとするとここでの補充が少なくとも1枚は必要になるだろう。おそらく長谷部か遠藤の代わりに中村兼剛、というのが最後のカードではなかろうか。



今回の決戦、1−0または1−1(この場合、先行して後で追い付かれるパターンが濃厚)で決勝リーグ進出なら未来は開ける。0−0と1−1では大きな違いがあるのだ。是非、堂々と勝ちに行って点を取ってきてもらいたい。


W杯戦記は次の戦いがあるからこそ、書く楽しみがある。是非もう一丁となるように、「侍ブルー」に念を送りたい。