どう育てる?日本の後発品メーカー(2)

<昨日のエントリーの続き>


【薬価は揃えるべきではあるものの。。。】

"交通整理"されていない"一物多価"の状況は、患者からしてみたら非常にわかりにくい。そもそも、同じ効果・安全性を前提とするならばなぜこんなにも価格が違うのか。


と考えていくと、実勢価格を薬価改定に反映すること自体を止めて後発品の薬価は販売後も一律に揃えたら良いのではないか、というのは自然な結論だろう。


一方で、薬価が揃えられると、医療機関への納入価のレベルで価格競争が起きる可能性が高い。そうなると、安い納入価を示す(医療機関にとっては薬価差益が生まれる)"価格勝負型"のメーカーに有利に働くことになりかねない。かつて"売り逃げ"に近い売り方をしていた、典型的な"ゾロ"メーカーの天国になる可能性すら出てくる。



【品質確保のための抑止力】

しかし、"価格勝負型"のメーカーは大洋薬品の例に見られるように、品質面ではかなりの不安が残る。厚生労働省は表向き、「後発品の効果・安全性は先発品と全く同じ」としているが、臨床上本当にそうかどうかは、誰も確認していない。


その意味で、たとえ後発品でも発売後2−3年にわたり市販後調査による「品質の定期チェック」という足かせをきちんとはめることが良い意味で「抑止力」になる。


こういう話をすると、「いや後発品メーカーは体力が無いのだから市販後調査なんてできない。可哀そうだ。」というようなことを言い始める人がいそうだが、発想が逆で、市販後調査ができるくらいの体力がある後発品メーカーに育ってもらう(そういうメーカーだけに残ってもらう)というのが正しい考え方だと言いたい。



【"その先"の考え】

最後に、究極の問は、「本当に後発品メーカーを育てる必要があるのか?」だ。


医療費の抑制を問題とするのなら、実は、先発品の薬価を後発品と同じレベルまで下げさせるのが一番手っ取り早い。そうすれば、医療機関もすんなり継続して使うだろうし、患者さんも飲みなれた薬を飲む方が楽だろう。


先発品を上回る便益を提供できるか否かで後発品メーカーとして生き残れるかどうかが決まる、くらいの尖った仕組みにする方が、結果として本当に強い後発品メーカーだけ市場に残るという"あるべき姿"に落ち着くのではなかろうか。