[医療の変革]患者体験の可視化〜QOL(療養生活の質)のその先に光を〜

"生活の質(Quality of life、略してQOL)"。
訳のわかったようなわかんないような言葉であるが、その耳触りの良さと定義の曖昧さ故によく使われている言葉の一つで、医療でもアウトカムの指標として使われることがままある。


がん対策基本法が制定されて3年経ち、国のみならず各都道府県レベルでいわゆる「がん対策の推進」が図られている。その中で、「がん患者の療養生活の質の維持向上」に関しては、条例レベルでも取り上げているところがほとんどのように思われる。


しかし、がん患者さんにとって具体的にどんな体験がどのように「生活の質」に影響したか、の議論が抜け落ちたまま、その"維持・向上"を図ろうとしても具体的なアクションに結びつきようがない。


例えば、「金銭面での不安」が生活の質に影響をすることは容易に想像できる。事実、日本医療政策機構の「がん患者意識調査」でも、回答者の70%が「治療費の負担が大きい」としており、いる。が、これだけではそうした不安・不満がどうやったら解決できるかの示唆は得られない。(「治療費を下げる」のは現実的な解とは言えないので)


治療費への不安・不満が、治療費の見込みや高額療養費制度についての説明の有無で変わってくるとすれば、アクションに結びつけることができる。アクションを惹起するためには、がん患者さんの具体的な体験の可視化が必要なのだ。


メディカル・インサイトでは、今後、具体的な打ち手を炙り出す戦略的患者調査の実施をサポートしていく。現在、ある患者会さんとこの取り組みを開始したところだが、これを契機に有意義な患者経験調査を世の中に広めていきたいと考えている。