朗報なれど突っ込み不足〜高額療養費制度の改正〜

先ほどYahoo!のトップページを開けたら、何とビックリ、高額療養費制度の改正のニュースがトップに入っていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100508-00000582-yom-pol


一般所得世帯(年間所得600万円未満)の内、年間所得300万円以下の世帯については、自己負担の月額上限額が現行の8万円から4万円に半減するということらしい。


何はともあれ、これはグッドニュース。


以前のブログエントリー(↓)でも書いたように、がん治療においては分子標的薬という高額な治療薬が主流になり始めており、何らかの形で患者さんの費用負担軽減を図らなければ、「オカネが続かないので治療を断念せざるを得ない」というケースが続出しかねない。
http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100318/1268927626


この問題への打ち手が優先順位の高い政策課題として出てきたということ自体は素直に評価すべきだ。


ただし、次の2点についてまだ突っ込み不足であろう。


・上限額のレベル設定
年間所得300万円以下ということはざっくり月収25万円以下。その内の4万円、というのはやはりそれでもキツいだろう。独身ならまだしも扶養家族がいるとなると、ドタ感でしかないが、月当たり2万円くらいが良いところではないだろうか。いずれにせよ、なぜ「4万円」で十分と考えるか、の論拠は必要となろう。


・「所得」の定義
現状はおそらく「前年の所得」で「所得」は把握されているであろう。しかしながら、病気により(あってはならない話だが)解雇・休職等を余儀なくされ、所得が前年からガクっと落ちる人もかなりいると思われる。


実際、東京大学医療政策人材養成講座4期生の「がん患者の就労・雇用支援に関する提言」(http://www.cancernet.jp/csr/csr_honpen.pdf)での調査結果で、勤労者の場合そのまま勤務継続できている人(1249名)と同じくらい、休職(229名)・依頼退職(799名)・解雇(111名)のいずれかを余儀なくされている人がいる。


従って、当年の月あたり所得を示すものがあればそれで代替させるというような配慮を加えることが望ましい。


今回は、観測気球的な要素があるかもしれないが、これを良い機会に議論が盛り上がることを期待したい。