がん対策のPDCA(Plan-Do-Check-Action)

"新人"の季節である。この季節に限って、見るからにスーツ姿が板についていない人たち(新卒社員と就活生)の姿が眼の中に入ってくる。


自分が社会人になって住友電工に入社した当時、口を酸っぱくして言われたのが、"PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回せ"ということ。「計画を立てたら実行し、結果をチェックして次の改善策を出す」というサイクルを回すことこそが仕事だ、と。


20年近く経った現在から過去を振り返ってみても、この教えは普遍的なものだと感じる。


翻って、日本の政策というものは、「Plan-Do」まではあるけれど、その先がすっぽり抜け落ちている例が枚挙にいとまがない。"Check"部分の重要性は、3月のエントリー「官僚叩きでは未来がない(2)」でも書いた。
http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100314/1268575854


がん対策基本法が制定され、がん対策推進計画という国の大方針が出て、早3年が経とうとしている。
このがん対策推進計画という大きな"Plan"、"Do"(実行)は都道府県レベルにまで下がってきて色んな形で動いているようだが、そろそろ一旦の"Check"をするタイミングだろう。


本来的にどのように"Check"(効果検証)するかも含めて計画していなければいけないのだが、なかなかそうはなっていない。特に難しいのが、「療養生活の質の維持向上」という全体目標に対しての評価。


そもそも目標設定の際に、適切な評価項目が決められていないので問題が難しくなっているのだが、「療養生活の質」の向上とは具体的に何を指しているのか、をもっと踏み込んで考えた上で効果検証しなければいけない。


例えば、「極端な経済的な負担感を覚えずに済む」こともそうだろうし、「副作用に苦しまずに済む」こともそうだろう。「漠然とした不安感を覚えずに済む」ことだってあるだろう。


これら考え得るものについて具体的な質問項目を作り、患者視点で状況を可視化することが必要なのだが、そこまでやっている自治体は私が関知する限り殆ど無い。メディカル・インサイトがこの状況を打破できるよう、蟻の一穴を開けていきたいと考えている。