大相撲に見る日本の未来〜外国人初の看護師試験合格のニュースに思う〜

昨日Twitterでちょっと呟いてみたのだが、外国人初の看護師試験合格者が3名出たというニュース、おめでたいというよりこれで良いのかと考えさせられた。


外国人の受験者数は254人、ということは合格率ほぼ1%。
一方で、日本人の合格率は89.5%。
これほどまでに差が付くのは、やはり試験が日本語の"読み書き"主体だからとしか思えない。


"読み書き"が日本人並みにできないと、看護師としての付加価値が本当に出せないだろうか?私はそうは思わない。もちろん"会話"さえきちんとできれば、かなりの戦力になることは間違いない。特にベッドサイドでの看護の"ココロ"は読み書き関係なく伝わるものは伝わるだろう。


"正看護師"資格とは少し異なる資格を創設して、もっと積極的に受け入れるという考え方が良いのではないか。今週初めのエントリーで書いた「外国人医師の受け入れ」問題(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100321/1269183898 および http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100322/1269273220)についても、同様な解を採るのが良いと考える。


その際間違えてはいけないのが、差別的に彼らの待遇を低くしたり業務を限定したりしてはならない、ということだ。その一方で、アウトカムの評価はきっちり行なわなければいけない。


医療の問題に限らず、海外からの人材、特にきちんとした教育を受けプロとしてのスキルも持った人材の導入についてはもっと積極的にするべきというのが私の持論だ。


こういうことを書くと、"ケシカラン。社会が壊れる。もっと自分たちでやれることあるだろう"みたいなことを言う人は出てくるであろう。


しかし、そのような主張をされる皆さんには、日本社会の将来が、「このままいったらどうなるのか」という姿を今一度しっかり見てもらいたい。
http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/Pyramid_a.html


これはシンガポールで投資顧問会社を立上げられている、藤原徹一さんのTweetから拝借したものだが、これが"現実"なのである。10年後には人口のボリュームゾーンは「70歳代」なのだ。


少子化対策はもちろん力を入れてやるべきだ。しかし、そう簡単に出生率が2近くに戻るとは到底思えないし、増えた子供たちが労働人口になるまでにさらに20年はかかる。


従って、我々は海外からの人材供給に頼らざるを得ない。特に高齢者が必要とする医療・介護といった分野については需要と供給のバランスが大きく崩れることが想定され、お願いしてでも来てもらう必要がある。
(海外で医療サービスを提供してもらうという「メディカルツーリズム」も解決策の一部にはなるかもしれないが、一般の人がそう気軽にできる話にはならないだろう。)


一つ参考になる風景がある。それは「大相撲」。


相撲好きの人ならよく知っていると思うが、現在の大相撲は外国人力士抜きでは成り立たない。朝青龍(引退したけど)、白鵬琴欧州安馬把瑠都らのいない大相撲なんて、全く魅力がないだろう。


確かに、日本人で有望な力士が出てこないのは若干寂しいが、盛り下がって閑古鳥かというと、そんなことはない。土俵を盛り上げている外国人力士たち、最初は全くと言っていいほど話せなかったであろう日本語を、幕内に入るころにはかなり流ちょうに操っており、相撲の文化・伝統も日本人以上にきちんと受け継いでいるように見える。


朝青龍の事を言い立てる人もいるかもしれないが、日本人横綱だって、かつては双羽黒のような行儀の悪いのもいたのだ。
(知らない方のために。。。 双羽黒は部屋のおかみさんに暴力をふるった結果、強制的に引退させられた横綱)


大切なのは、群れて自分たちだけの世界に閉じこもってしまう外国人ではなく、日本文化の良い点をきちんと吸収し、日本社会と融和できる外国人を増やすことである。


"日本人力士"だけではジリ貧なのだ。