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日経新聞の「医療・介護改革 本社提言」

医療の変革

今朝の日経新聞、1面に「医療・介護改革 本社研究会提言」として「[家庭医』を育て病院は高度医療」という見出しで大々的に医療についての提言が掲載されていた。


家庭医の重要性については、このブログでも取り上げてきたが、これだけ大きな特集の目玉として取り上げられているのにはびっくりした。
http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100103/1265898762


しかし、この題名には文句を言いたい。病院は"高度"医療というのは語弊がある。これじゃまるで、開業の家庭医が行なう医療は"低度"ということになってしまう。医療全体に対する付加価値と言う意味では、信頼できる"診立て"の価値は非常に大きい。しかし、世間一般にどうしても開業医より大病院(特に大学病院)の方が上、という変な信仰がはびこっている中で、そうしたレッテルを後押しするコンセプトになってしまう。病院は"専門"医療、ならまだ話はわかる。


題名の問題はさておき、供給側の体制として、「家庭医」を育ててゲートキーパーにするという方向性は間違っていないと思う。問題はそうした体制をつくるまでのスピードである。大学に臓器別専門医の養成と別に家庭医・総合医を養成するもう一つのコースを設ける、というのは長期的には正しい解だが、実際に現場でこうした新しい教育を受けた先生が活躍するまで10年はかかってしまうので、短期的な解も示さなければ不十分であろう。


短期的には、在野の開業の先生にトレーニングを積んでもらい、「家庭医・総合医」としての専門医資格を取ってもらう、ということになろう。彼らに必要な行動スキルとして「診立て」があることは論を待たないが、もう1点、「紹介」も重要になる。専門治療医を紹介するにあたり、その疾患・治療においてどの施設(できれば先生)はどの程度の治療成績を持ち合わせているのか、という情報があるかないかで、紹介の質のレベルが大きく変わってくる。今までは「系列の先生に紹介」で済まされていたものが、今後はもっとシビアに見られることになることを、開業の先生方は意識せざるを得なくなるであろう。


患者さんにしてみれば、病院に直で行くというオプションが無くなり、文句を言う人も出てくるかもしれない。何でもかんでも大学病院というような患者さんに対しては、大学病院の専門医は「診立て」のプロとは限らないということなど、「患者教育」も同時に行なっていくことが「家庭医のゲートキーパー化」へのスムーズな移行のカギになってくる。