官僚叩きでは未来を創れない(2)

今朝の日経にタイムリーな記事が出ていた。


題して、「『定年まで公務員』骨抜き 〜天下り禁止でも『肩たたき』継続〜」。天下りのあっせん禁止で50歳代の人材を内に抱えざるを得ないが、人件費の膨張・新卒採用の抑制の恐れがあるので、定年前の退職を勧める「肩たたき」を継続する案が出ているらしい。


前回の投稿では、「徹底的な検証機能」こそがこれからの官僚たちに求められている実務機能だということを最後に書いた。


今までの官僚たちの仕事は、政策立案⇒法制化⇒規制遵守の指導、が主であった。今後も守備範囲がこのままであるとすると、政策立案がかなりの度合いで政治家主導に移っていくと考えると、全体として仕事は大幅に減ることになり、肩たたきでもしないと、という話になるであろう。


一方で、政策の効果検証については現状は甚だお粗末である。これは、官僚組織がマンパワー不足ということもあったかもしれないが、もう一点、自分たちが実質作った政策の効果検証についてはやらないか、都合のよい形にする"お手盛り"のみで済ませる、というインセンティブが官僚側に働いていたことにもよる。だからこそ、昨年末にあったような「事業仕分け」で所轄官庁の官僚たちがアタフタとすることになる。


官僚機構は、今回の政治家主導の流れを奇貨として、「徹底的な検証機能」を担保する組織体に変わっていくべきである。政治家主導で政策立案が進むのであればなおさらこの機能は重要であり、政党に中立的な官僚が行なう仕事として本来的に非常に相応しい。


そう、事業仕分けを政治家が官僚に対して行なう図は、主客転倒なのである。官僚が本来の役割を担うようになり、ガラス張りの効果検証が進んでいくようになれば、この国の政治もかなりマシなものになっていくと考える。