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どう考える?〜代替療法〜

昨日、前職でよくお世話になっていたキャンサーネットジャパン(CNJ)さんが主催する公開講座「もっと知ってほしい『がん医療情報のホント』のこと」に行ってきた。
http://www.cancernet.jp/eve100227.html


がん医療におけるいわゆる「代替療法」について真面目に取り上げた非常にめずらしい企画で、まずはこうした取り組みを行なったCNJに拍手を送りたい。実際、患者さんやご家族の関心もかなりあったようで、いつもの彼らの公開講座と比べても、お客さんの入り方が全然違っていた。


代替療法を論じるにあたってはその宣伝色でもない限り、ビジネスとしては成り立たない。しかしながら、「もっと(精確な情報を)知りたい」という患者さんのニーズは非常に大きい。こういったテーマに真摯に取り組むことこそNPOの役割である。


さて肝心の会の内容であるが、概ね、「代替医療については有効性を示す信頼に足るエビデンスが無い」という科学的事実を色んな角度から伝えていた。これはこれで、怪しげな情報が色々と出回っている現状を考えると、第一歩としては良いのだろう。


しかしながら、どうもしっくりこなかったのが、そうした「科学的事実」を突きつけることと患者さんのニーズが必ずしもマッチしていないということである。パネラーの医師の一人が、過去の経験談として代替療法について否定的に話したら、「先生、希望を打ち砕くようなことを言わないでください」と言われたそうだが、この患者さんの言葉が言いつくしていると思う。


統計をとったわけではないが、代替療法に手を出すのは、治療の手立てがもう無いということを告げられた患者さんの比重がかなりを占めるはずだ。皆、「(効くかどうかかなり怪しい気もするけど)やれることはやり尽くしたい」という気持ちなのではなかろうか。壇上に立っている先生たちも、もし本当に自分ががんに罹って、標準治療の抗がん剤も効かなくなったという事実を目の前にした時、現段階で有効性を示すエビデンスが無いからといって、代替医療に一切手を出さないと言えるだろうか?


実際、殆どの代替療法が「有効性があると言えるような信頼に足るエビデンス」はないと同時に「無効であると言えるような信頼に足るエビデンス」もないのだ。まあ、そんなことを示すコストのかかる試験を真面目にやろうとする企業は無いだろう。


なので、代替療法の存在自体はある種言葉は悪いが、「必要悪」みたいなものである。


問題は、これらの治療法が非常に高額であることだ。ケチったと思いたくない・思われたくない気持ちを利用してべらぼーに高額な値付けがされていることが問題の本質だろう。しかし、価格がどうこうというような話を医師はどうもし辛いらしいのだ。


僕が会の中で発言したのは、この「価格」に対する考え方である。


本当に「効く」ものであれば大勢の人がたくさん使うから価格は下げられる。高価であればあるほど、それだけ効果の見込みは期待できない、と考えておくのが賢明。


代替医療を頭から否定するのではなく、こんな考え方をそっと患者さんに伝えることが、"賢者の診療"ではなかろうか。