幼保一元化と待機児童数

今日、久しぶりにニュースをTVで見たが、ちょうど鳩山さんが「幼保一元化
」について言及している場面だった。


厚生労働省の保育所行政と、文部科学省の幼稚園行政を一体化させて、子育て支援庁的な新しい組織を創るということらしい。


ここで重要なのは組織の入り繰りもさることながら、明確なゴールを持つことだろう。多分、政府としての大きなゴールは、出生率を2くらいまで引き上げるこだろうが、この組織の重要なゴールの一つは、待機児童をゼロにするということだろう。以前のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100117/1263734459)でも取り上げたが、保育所の増設や定員増とそこへの財政的支援が、出生率上昇のカギと考えるからだ。


待機児童に関して言うと、今見えている待機児童数は潜在ニーズを無視したものなので、その数字を基に考えない方が良い。我が家もそうだが、あまりにも見込みが薄いのであきらめてしまっているというケースが相当数あると考えられるからだ。


では、潜在待機児童数はどの程度なのか。


厚労省出所の情報を見ると、待機児童は平成21年度で2.5万人程度とされている。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/09/h0907-2.html


一方で需要はどの程度か。


①小学校入学までの児童数が5学年分ざっと650万人程度。

②専業主婦または主夫希望でかつ経済的にそれでもやっていける世帯をまず除く。せいぜい2割程度だろう。⇒ 650万人×0.8=520万人

③保育所で実際受け入れている児童数約200万人を除く。
  ⇒520万人-200万人=320万人

④夫婦どちらかの近親に完全に預けられるケースを除く。多く見積もっても1割だろう。
 ⇒320万人×0.9=280万人

⑤幼稚園で受け入れている児童数170万人を除く。ただし基本的に②で除いた分と被ると考えられるのでダブルカウントしないよう考慮する。
 ⇒280万人−(170万人−650万人×0.2)=240万人


ということで、ラフな仮定ではあるけれど、潜在需要は全然桁が違うということはわかると思う。


ちなみに厚生労働省も昨年潜在需要について調査をやってみたようだ。↓の記事によれば、潜在待機児童数は85万人と推計されている。
http://d.hatena.ne.jp/edu-news/20090409/p6


ただし、この推計の基となっているのは、「現在は認可保育所を利用していないが、『1年以内に働き始め、子どもを認可保育所に預けたい』などと考えている世帯は約2割あった」という調査結果なので、簡単に保育所のコストを大きく上回る収入が得られる働き口が見つかりそうにない層が考慮されていない。


実態は、厚労省の推計値と僕の推計値の間くらい、すなわち百数十万人というところではなかろうか。この解消は、幼保一元化して多少余っている幼稚園の定員を保育園に回すくらいの話では、まったくおぼつかないレベルであることは確かだ。