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子宮頸がん予防ワクチン

昨日、国立がんセンターの土屋病院長主催の勉強会に参加した。お題は、「子宮頸がんと予防ワクチン」。


そもそも、日本のワクチン行政というものはひどく諸外国に比べて後れをとっており、海外では当たり前のように公費助成で国民が接種されているワクチンが、日本では認可されていなかったり認可されていても全額自己負担の任意接種というある種"野放し"と言ってよい形になっている。


Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンなどがその典型だが、この子宮頸がん予防ワクチンについても同様に、ようやく世界に遅れて(100カ国以上ですでに使用されている)、日本でも最初の一剤が昨秋に認可されたものの、公費助成は全くなし、という状況だ。


日本ではワクチン行政に戦略がないと言われているらしいが、そんなものそれほど難しく考えなくてもできるだろう。
添付が、基本的な枠組みになるはずだ。
Blog-100115-vaccine policy.ppt 直


英語で書いたスライドなので、読みにくい方には申し訳ないが、横軸が経済的価値、そして縦軸が社会的価値。経済的価値は、大まかにいえば「ワクチン接種により防ぐことのできた機会損失と医療費の発生」から「ワクチンのコスト」を除いたもの、と考えれば良い。縦軸の社会的な価値は定量化しがたいものだが、要は"こういう病気にはなりたくない"とみんなが考えるような疾病かどうか、とか、"これだけは道義的にも防がなければならない"というような観点での軸。


図にあるように、経済的価値の有無によって公費助成の有無や程度を決めればよいし、社会的価値の大きさによって義務にするか否かを決めればよい。


で、子宮頸がん予防ワクチンについて、特に横軸の経済的価値の分析はあるのかしらと気になっていたのだが、そのものズバリの分析がすでにあることが、この日の勉強会でわかった。


自治医科大学附属さいたま医療センターの今野教授が、2008年11月号の「産婦人科治療」に出された論文「日本人女性における子宮頸癌予防ワクチンの費用効果分析」の内容を解説してくださったのだが、結論だけ言えば、12歳の女の子全員に接種したと仮定したときの経済的価値は190億円のプラス、ということである。非常に堅い分析ロジックなので、違和感はなかったし、こうした分析があるのであれば、イニシャルにかかる210億円程度の額は、「事業仕分け」でもむしろ推奨されるようなオカネの使い方になる。


残念ながら官庁の人たちが勉強会に参加されていなかったようだが、ぜひオープンな場で議論されていくことを期待する。

最後に、この子宮頸がん予防ワクチンの公費助成による負担軽減を求める署名ができるので、賛同される方は、是非↓のサイトで署名されたい。
http://hpv.umin.jp/