「ペイシェンツ・アイズ」

三宅さんのオススメ本でもある、「ペイシェンツ・アイズ」(マーガレット・ガータイスら編、信友浩一監訳、日経BP社)をAMAZONで購入。


2001年に初版が出たきりの本であったためか、新品はなく、中古でしか入手できなかった。原本はさらに古く、1993年に書かれているようなので、「古典」に近い部類に入っているのだろうが、内容はなかなかどうして、今の日本の医療が抱えている問題点がほとんどそのまま当てはまるのでは、と思われるものだった。


本の内容は、「患者中心の医療」を築くために発足した「ピッカー・コモンウエルス・プログラム」から生まれた成果を紹介している。「患者中心の医療」を考える上で、医療の質を技術的なものとは別の、患者の主観に基づくソフトな質をどう担保していったら良いか、について詳しく述べられている。


米国でもこうした概念が生まれたのはそう昔ではなかったんだなと思う一方で、ソフト面での「顧客マーケティング」の得意なはずの日本という国でこの概念の浸透が未だに進んでいないことの不可思議さも感じた。


しかも、日本は「フリーアクセス」で病院数が過剰なことも考え合わせると、本来的には医療機関がもっとマーケティングでの競争力が試されるはずなのに!


おそらく、よく指摘されるように、医療機関の経営がその道のプロとは必ずしも言えない「医師」や「役人」が行なっていることと無関係ではないだろう。


こうした議論になると必ず出てきそうなのが、「『患者中心の医療』を実現するのにはコストがかかる。今の診療報酬のレベルではとてもではないがそこまではできない」という医療機関側の声だ。しかし、本当にそうだろうか?しっかり掘ってみると、案外違う答えが出てくるのではなかろうか。