がんから社会復帰したロールモデルを見つけられる「5years」

昔、乳がん患者さんを対象に調査した時に、周囲の人に対する要望として、「普段通りに接してほしい」「原因を一緒に考えてくれなくて良い」といった声が多く上がっていたのが印象的だったのですが、そんな記憶が、↓の記事を読みながらよみがえってきました。

 

 

president.jp

  

 

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自分が患者になったとき、身体的な辛さもありましたが、それ以上に辛かったのは周囲の人たちからかけられる何気ない言葉でした。

 

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友人や知人からいろんな言葉もかけられました。「かわいそう」、「気の毒だ」、「君みたいな良い人が、なぜ……」とか。でも、がんって人を裁くものではありません。誰もがなりうる病気で、哀れに思われるとみじめになります。がん患者に言葉をかけるのは難しいかもしれませんが、患者としては、やっぱり普段どおりの普通の会話が一番嬉しいのです。

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この記事を書かれているのは、ファイブイヤーズ代表の大久保淳一さん。

精巣がんのサバイバーです。

 

大久保さんが闘病中にネット上で情報収集して行く中で困ったのが、「治療の辛さとか亡くなった人の情報ばかりで、病気を乗り越え社会復帰した人たちの情報がなかったこと」でした。

 

そこで、同じがんという病気で社会復帰したロールモデルを見つけられるようなサイトをつくるため、

 

 ■患者と家族が情報を共有できるコミュニティサイト「5years」http://5years.org

 

を立ち上げます。

 

このサイトの「ごあいさつ」のページで、大久保さんが書かれている言葉です。

 

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 このサイトには、治療を終え無事に社会に戻った人たちがたくさん登場します。そして治療中の人、ご家族、リハビリ途上の人、社会に戻った人が体験に基づくさまざまな情報を交換し、似た境遇の方々が交流を通じて明日へのエネルギーを生み出し合います。

 

 5years とは、そんなパワースポットのような場です。

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患者会などとはまた違った形で、オンライン上でこうしたコミュニティが出来上がったのは、素晴らしいことです。

 

で、早速、会員登録して「みんなの広場」の内容を見てみました。

  

ウィッグの情報とか、先生に感謝のお手紙を送ってみた経験のシェア、などの、患者さんにとって意義のあるやり取りは、想像以上に素晴らしい。

 

一方、一部で治療方法のアドバイスや科学的エビデンスの無さそうな治療法を行なっている医療機関の推奨などの内容が含まれていたのが気になりました。

 

私も患者向けの情報サイトを扱っているので、このあたりは気をつけているのですが、個別の治療法への言及(アドバイス)というのは、ちょっと超えてはいけない一線なんですよね。

 

運営側がきちんと内容を精査して、怪しい治療法の宣伝場にならないように是非して頂きたいところです。使う側としては、その辺りを注意して使えば有用な情報サイトだと思います。