医療への視点

外科医はプロスポーツ選手

「ラッパのマークの・・・」と言えば、正露丸。 お腹を下した時は誰しもが一度はお世話になったことのある家庭薬だろう。あの独特の色の小瓶を開ける時の「うっ」とくる感じは、強烈な「匂いの記憶」として中枢神経の奥深くに沁み込んでいる。 そんな正露丸…

"サメ軟骨は無効"の試験結果の先にあるもの

アガリスク、メシマコブ、サメ軟骨、フコイダン。。。 がんの代替療法の中で、これら"健康食品"はその積極的なマーケティングもあり、かなり人口に膾炙している。特にがん患者や周囲の家族・親族で実際手に取ってみた事がある人もかなり多い。 がん患者における…

見習うべし、FDAの懐の深さ〜「官」主導より「民」主導〜

World Pharma Newsで面白い記事を発見した。 http://www.worldpharmanews.com/content/view/1243/1/<以下、一部を転載> ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ”FDA Announces Collaboration with Drugs.com” The U.S. Food and Drug Administration ann…

トンズランスと口蹄疫

「格闘技部に流行する新型水虫」、何かデジャビュを見ている感じだった。 トンズランスと呼ばれるこの水虫、4〜5年ほど前にも全く同じようにマスコミに取り上げられたものだ。 それが、Yahoo!のTopNewsに挙げられているからびっくりした。 http://headlines.…

"嫉妬"はゼロサム・ゲーム

「製薬大手への過保護政策を転換し、医療への公的支出を増やす財源捻出を」 先日、MRICの投稿記事にこのタイトルを見て、頭の中にクエスチョン・マークが飛びまくった。 全国保険医団体連合会の小藪氏が書かれたこの記事、久しぶりに"暴論"を見た思いだ。 【…

ねんざには運動だ!

先日、上先生のTweetで面白い記事にたどりついた。 http://www.bmj.com/cgi/content/full/bmj;340/may10_1/c1964 足首のねんざの場合、運動を積極的に行なった方が、「冷やして安静にする(動かさない)」という旧来の治療法と比べ、痛みや腫れ、そして足首…

朗報なれど突っ込み不足〜高額療養費制度の改正〜

先ほどYahoo!のトップページを開けたら、何とビックリ、高額療養費制度の改正のニュースがトップに入っていた。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100508-00000582-yom-pol 一般所得世帯(年間所得600万円未満)の内、年間所得300万円以下の世帯について…

初台リハビリテーション病院訪問記

"春雨"の中、初台リハビリテーション病院を初めて訪ねた。 リハビリテーション病院には、今まで仕事の上でも全く縁が無かったのだが、先方の御好意で、施設の見学もさせて頂けた。 まずもって瞠目したのが、理学療法士と思しき方々の手厚い配置だ。ざっとみ…

「妊婦のタミフル、副作用調査」のニュースに思う産婦人科学会の心意気

先週金曜日のニュースだが、「妊婦のタミフル、副作用調査へ」という記事があった。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100422-00000238-jij-soci 昨年の新型インフルエンザの流行に際し、妊婦への抗ウィルス薬投与を積極的に進めた事が、日本での妊婦の…

抗がん剤で吐き気、はもう旧い!

今まで多くのがん患者さんとお話ししてきたが、がん治療の道中、やはり「吐き気」「嘔吐」が一番辛いという人が多い。特に多くのがんに用いられているプラチナ系の抗がん剤を投与する場合は、吐き気は"必発"というのが今までの常識だった。 それが、最近そん…

個別化医療が招く検査薬の時代

「個別化医療」という単語はしょっちゅうマスコミにも登場しており、すでにして手垢がついてきた感があるが、見逃してはいけないのが、個別化が進むにつれ「検査薬の時代」への流れが進むという点であろう。 検査薬と言っても色々あるが、この場合、その患者…

患者会の"連携"の意味

前職の時代から、がん関連の患者会活動をされている、もしくは患者会をサポートされている多くの方々と知己になる機会を頂き、色々な形でお付き合いが続いている。 僕自身、実際に会ってその方の目を見て声を聞いてでないと、感得できないものがあると思い、…

がん対策のPDCA(Plan-Do-Check-Action)

"新人"の季節である。この季節に限って、見るからにスーツ姿が板についていない人たち(新卒社員と就活生)の姿が眼の中に入ってくる。 自分が社会人になって住友電工に入社した当時、口を酸っぱくして言われたのが、"PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクル…

ポリオの予防接種〜不活化ワクチン〜

先週末、娘のポリオの予防接種でプライマリケア東京クリニック(http://www.pctclinic.com/)を受診した。 ポリオは日本では通常の予防接種だと生ワクチンを経口で接種することになる。しかし、専門家にはよく知られた話だが、実は生ワクチンだと非常に低い…

メディカルツーリズム〜日本は医療でも買い負ける?〜

土曜日に、タイのバンコク病院で営業・マーケティングを担われている田中耕太郎氏の講演を拝聴した。 元々、起業する前からメディカルツーリズムは事業のネタとして真剣に考えていたこと、そしてタイは住友電工時代に何度も足を運んだ馴染みのある国だったこ…

ドキシルの算定包括化

古巣のヤンセンファーマの卵巣がん治療薬「ドキシル」の治療がどうやら包括払い(定額払い制度の対象下)になったらしい。 以下、卵巣がんの患者会「スマイリー」の代表・片木さんのTweetより転載 −‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ ドキシルはどうやら包括…

分子標的薬に思う

今日は臨床腫瘍学会の学術集会に参加。昨秋のがん治療学会以来、久しぶりの学会であった。 学会の演題の多くが最近次々に登場している"分子標的薬"に関するもの。 しかし、いくつかの演題を見た後で、がん治療における分子標的薬ってどんな意味があるのだろ…

「孤高のメス」が映画化される!

私が今まで読んだ中で一番面白かった医療小説、「孤高のメス」が映画化される。 今日乗っていた地下鉄の中吊り広告でたまたま目に入ったのだが、堤真一さんが主演するらしい。作者の大鐘俊彦さんのブログには昨年のうちから紹介されていたようだ。(↓参照) …

Days of Meaningful Life

土曜日の午後のひと時、スタバで一仕事終えかけた時、後ろの席の初老の女性が話し始めた。 「なんとかシュ、っていうからね、そんなの別にガンだなんて思わないじゃない。それがね、ガンだって医者は言うのよ。悪性リンパ腫っていうらしいの」…「現実を直視…

知る権利、知らない権利(続)

先月のエントリー「知る権利、知らない権利」(http://d.hatena.ne.jp/healthsolutions/20100222/1266852054) に対し、第一線でがん治療に携わっている先生からメールでコメントを頂いた。 真摯に医療を提供されている側からの視点と現状がよくわかるものな…

がん検診のワナ

昨日のエントリーに続き、CNJさんの公開講座ネタをもう一つ。 当日のメインテーマとはちょっとずれた話だったのだが、面白かったのが国立がんセンターの斎藤先生による「がん検診は全ての人に有益ですか?」。 テーマから容易に想像がつくが、「検診=善いこ…

どう考える?〜代替療法〜

昨日、前職でよくお世話になっていたキャンサーネットジャパン(CNJ)さんが主催する公開講座「もっと知ってほしい『がん医療情報のホント』のこと」に行ってきた。 http://www.cancernet.jp/eve100227.html がん医療におけるいわゆる「代替療法」について真…

知る権利、知らない権利

がんに罹った患者さんに対し、どこまで情報をインプットすべきか、というのはなかなかに難しい問題である。 昨夏亡くなった祖母のケースでは、癌であることは伝えたものの、進行の程度、転移の状況、予後の見込み等については子供たち(私から見ると母および…

脳卒中にワクチン!?

World Pharma Newsに面白い記事がアップされた。題して、「新発見が脳卒中ワクチンの開発につながるかも (Breakthrough may lead to anti-stroke vaccine)」 原文の出だしは↓EU-funded scientists have discovered that the presence of low levels of a typ…